vol.66 肺の生活習慣病COPD、大規模臨床試験に世界が注目!!

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Vol.66 肺の生活習慣病COPD、大規模臨床試験に世界が注目!! “肺の生活習慣病”とも“たばこ病”ともいわれているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)。これまで『慢性気管支炎』、『肺気腫』と呼ばれていた二つの病気を合わせて、今は世界の共通病名としてCOPDで統一されています。
“たばこ病”の別称があることから分かるように、原因の90%は「たばこ」。日本には患者が約530万人いるといわれていますが、実際に治療を受けているのは約22万人程度です。
COPDは、肺に慢性的に炎症が起きて気道が狭くなったり、肺胞の壁が破壊されたりすることで気流制限が起こる病気です。代表的な症状は「息切れ」「咳」「痰」。肺の機能が次第に低下して駅の階段を上るのも苦しくなり、重症化すると自宅での酸素吸入を余儀なくされてしまいます。
これまで、病気の進行を止める薬はないといわれていましたが、治療を早期に行うことで病気の進行を抑えられる、世界が注目するCOPD治療薬(抗コリン薬のチオトロピウム:2004年に日本でも発売開始)の効果発表が、2008年10月5日、世界最大の呼吸器学会『第18回欧州呼吸器学会』(ドイツ・ベルリンで開催)で行われました。
その成果が示されたのは『UPLIFT』といわれる大規模臨床試験の結果です。過去最大の臨床試験で、日本を含めた世界37カ国の約6000人が参加しました。このUPLIFTの研究主任は、ベルギーのクーベン・カトリック大病院呼吸器科のマーク・デクラマー医師。当日、発表は4000人入る最大規模の会場で2回行われました。立ち見も含め18000人の学会参加の医師の半分以上となる10000人の医師が注目したのです。
臨床試験の参加者は約3000人ずつ2つのグループに分けられました。これらの患者すべてに、抗コリン薬以外のCOPD治療薬よる治療に加え、抗コリン薬のチオトロピウムを与えるグループと偽薬を与えるグループに分けたのです。そして、呼吸機能を正確に測定し、4年間の経過を調べました。
結果、抗コリン薬のチオトロピウムを与えたグループでは、治療期間中の死亡率が16%も低下。また、状態が急激に悪化する「急性増悪」の発生率が14%も低く、さらに、最初の急性増悪の発症までの期間は、4.1カ月も遅かったのです。患者を重症度別に比較すると、症状の軽い「軽症・中等症」の患者に対して特に有意だったことから、早期治療の重要性が明らかになりました。
治療には合併症がつきものなので、安全性にも注目が集まりました。重篤な有害事象に関してチオトロピウム投与群で発症率が増加したものがないどころか、逆に、心筋梗塞、呼吸不全などの有害事象の発症率を低下させました。
つまり、患者さんの「死亡率低下」「急性増悪の減少」「安全であること」が裏付けられたのです。
このことから、早期治療が重要であると理解できます。デクラマー氏自身、以下の言葉でUPLIFTを総括しました。
「COPDの治療を行う場合、QOLが悪くならない軽症の段階で早期発見し、長期維持療法を積極的に行っていくことが重要ポイントであると、私たち臨床医に確信させてくれる研究報告となりました」。
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