高血圧とメタボリックシンドローム

高血圧は危険な因子

メタボリックシンドロームは、腹部肥満をベースにして、高血圧や高血糖、脂質代謝異常などの危険因子がいくつか重なった状態のことです(詳細は「メタボリックシンドロームの基礎知識」をご参照ください)。
メタボリックシンドロームになると、冠動脈などの動脈硬化を促進し、心筋梗塞などの心疾患を引き起こしやすくなります。
日本人の場合、メタボリックシンドロームを構成する危険因子のうち、最も多くみられるが高血圧です。高血圧は、単独でも心疾患のリスクを高める要因なので、両方が重なっている場合には非常に注意が必要だといえます。

正常高値でも注意が必要

血圧が高い方は、メタボリックシンドロームだけでなく、慢性腎臓病、心血管病などの臓器障害を併発しているケースが少なくありません。また、喫煙の習慣、高齢、遺伝などの要因をもっていることもあります。
こうした合併症や悪い生活習慣などの危険因子がある場合には、高血圧の前段階(高値血圧)でも、脳卒中や心疾患のリスクが高いと判断されます(下表参照)。

血圧と危険因子による脳心血管リスク(診察室血圧に基づく)

脳心血管リスク 高値血圧
収縮期血圧130-139
拡張期血圧80-89
mmHg
Ⅰ度高血圧
収縮期血圧140-159
拡張期血圧90-99
mmHg
Ⅱ度高血圧
収縮期血圧160-179
拡張期血圧100-109
mmHg
Ⅲ度高血圧
収縮期血圧180以上
拡張期血圧110以上
mmHg
リスク第1層
(予後影響因子がない)
低リスク 低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第2層
(年齢(65歳以上)、男性、脂質異常症、喫煙のいずれかがある)
中等リスク 中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第3層
(脳心血管病既往、非弁膜症性心房細動、糖尿病、蛋白尿のある慢性腎臓病のいずれか、または、リスク第2層の危険因子が3つ以上ある)
高リスク 高リスク 高リスク 高リスク

(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より)

この表は1つの目安であり、実際の診療では医師が検査や問診に基づき、治療方針を決定します。

また、ほかにも高血圧のリスクを高める要因や、高血圧に関連する疾患は数多くあります。

糖尿病

糖尿病患者のうち高血圧の人の割合は、糖尿病でない人の約2倍と高くなっています。糖尿病で血糖値が高くなると、動脈硬化が進み、血圧が上がってしまうのです。また、高血圧の人は糖尿病になりやすいので注意が必要です。

動脈硬化

高血圧の場合、心臓から送り出される血液の量が増えることで動脈に高い圧力がかかり続け、血管壁がぶ厚くなったり血管の内腔が狭くなったり硬くなったりします。この状態を動脈硬化といいます。また、動脈硬化が起こっていると血流が悪くなるため、心臓はより強い力で血液を送り出そうとするので血圧が上がってしまいます。このように、動脈硬化と高血圧は、表と裏の関係といえるものです。また、脂質異常症と高血圧が合併している場合、動脈硬化のリスクが増大してしまいます。

腎疾患

腎臓には老はい物や余分な塩分を排泄するための毛細血管が多数あります。この腎臓に動脈硬化が起こると老はい物や塩分の排泄が悪くなり、心臓はもっと腎臓に血液を贈ろうとして血圧が上がってしまいます。すると動脈硬化がさらに進行し、やがて、腎臓の機能が低下してしまい、最悪の場合は腎不全になるリスクも増えてしまいます。

睡眠時
無呼吸
症候群

睡眠中に呼吸が何度も停止してしまうと交感神経が優位になってしまうため、普通は夜間に下がるはずの血圧が上がってしまいます。睡眠時無呼吸症候群は、心不全や脳卒中、脳血管疾患のリスクとなるため、適切な治療をすることが重要です。また、夜間高血圧や早朝高血圧の原因の1つといわれています。

これら以外にも高血圧は、高尿酸血症、慢性閉塞性肺疾患などとの関連も指摘されているため、注意が必要です。

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