日本人に多くみられる高血圧のタイプ

こんなタイプは注意を

日本人の高血圧には、原因や要因にいくつかの特徴があります。思い当たるものはありませんか。

食塩摂取量が多い

日本人の高血圧の最大の原因とされるのが、食塩摂取量の多さです。減塩ブームといわれますが、現実には1日の食塩摂取量は約10gにもなります(国民健康・栄養調査2019年)。日本高血圧学会が推奨する食塩摂取量は「1日6g未満」ですから、まだ大きな開きがあります。
食塩を多くとると、なぜ血圧が上がるのでしょうか。
食塩をとると、血液中の塩分濃度が高くなります。すると濃度を調整するために、体内の水分が血液中に集まります。その結果、血液の量が増え、血圧が上昇するのです。さらに、血液中の塩分を早く排泄するため、心臓は腎臓により多くの血液を送り込むため、血圧が上がります。

内臓脂肪型肥満

日本人の男性(比較的若い世代)に多くみられるのが、内臓脂肪型肥満を原因の1つとする高血圧です。
インスリンは糖をエネルギーに変える重要なホルモンです。内臓脂肪が増えると、インスリンの働きが悪くなります。するとすい臓から大量のインスリンが分泌されるようになりますが、インスリンには腎臓からの塩分(ナトリウム)の排泄を妨げる作用があります。その結果、血液中の塩分濃度が上昇し、高血圧をまねきます。
また、インスリン自体が動脈硬化を促進することも明らかになっています。

高血圧になりやすい体質

日本人の高血圧の患者さんのうち、約半数は親などから高血圧になりやすい体質を受け継いでいるといわれます。両親ともに高血圧の人は、特に、要注意です。
高血圧になりやすい体質には、塩分感受性(塩分の影響を受けやすい)や、カルシウムの調節機能がよくないなど、さまざまなものがあります。
両親、祖父母、兄弟姉妹をみて、高血圧の人がいる場合には、自分もリスクが高いと考え、血圧に気をつけるようにしましょう。
また体質だけでなく、家族は生活習慣(食事の傾向、飲酒・喫煙習慣など)も似ています。家族に高血圧の人がいる場合には、生活習慣を見直してみることも大切です。

ワンポイントアドバイス

ストレスを受けると、血圧が一時的に上昇します。これはストレスに対抗するための防御反応の1つで、いい意味での「緊張状態」が生まれます。
しかし、ストレスが長期間にわたって続くと、ストレスに弱いタイプの人は慢性的な高血圧状態になりやすい傾向がみられます。日本人には、相手に合わせる「過剰適応型」のストレスをもつ人が多く、このタイプは自分がストレスを受けていることに気づきにくい面があります。家庭での血圧が高めになっている場合には、ストレスも疑ってみて、積極的に気分転換(新しい趣味をもつ、旅行をする、映画や演劇を鑑賞するなど)を図ってみるのも1つの方法です。