高血圧による脳・心血管疾患の発症ゼロへ

血圧ラボ 血圧基礎知識編血圧の基本

血圧とは

病院では発見できない仮面高血圧に注意②

「職場高血圧」とは 働き盛りが気をつけたいストレスと血圧の関係

精神的・身体的ストレスは、血圧に影響を与えます。診察室血圧や家庭血圧が正常でも、職場や家庭でストレスにさらされている昼間の時間帯の血圧値が高い場合を、「昼間高血圧(ストレス下高血圧)」といいます。
この昼間高血圧の一つに「職場高血圧」があります。診察室血圧は正常でも、ストレス状況にある職場で測定した血圧が高くなる職場高血圧は、肥満や高血圧の家族歴のある人に多いのが特徴です。昼間高血圧かどうかを調べるには、ABPM※や職場での血圧測定が有用です。

※ABPM :血圧を1日中連続して測定できる携帯型自動血圧計

ビジネスパーソンは「月曜午前」に注意

月曜日の午前中は、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管事故が多いことがわかっています。これは30代~60代前半のビジネスパーソンに特有の現象であることから、職場でのストレスが関与していると考えられています。
木村玄次郎氏(独立行政法人ビジネスパーソン健康安全機構旭労災病院 病院長)は「職場のストレスによる血圧上昇(職場高血圧)が原因で心血管事故が誘発される」という仮説を立て、調査を実施しました。この調査では、20~65歳のビジネスパーソン(平均年齢51歳)207人を対象に月曜・金曜・休日に、1日4回(起床時、就眠時、午前10時と午後4時)、血圧と心拍数を測定しました。そして、この測定値をもとに、各曜日、時間帯別に『ダブルプロダクト』を算出しました。ダブルプロダクトとは、最高血圧と心拍数を掛け合わせた、心臓への負荷と全身の酸素消費量を測る指標で、心血管事故を予測できるリスク因子だといわれています。この調査の結果、血圧については曜日、時間帯によって差はありませんでしたが、ダブルプロダクトをみると、月曜日の10時に明らかな上昇が認められたのです(図1)。

図1 休日、月曜、金曜のダブルプロダクト(心拍数×最高血圧)

図1 休日、月曜、金曜のダブルプロダクト(心拍数×最高血圧)
【方法】20~65歳未満のビジネスパーソンの男女207例に対し、月曜・金曜・休日に、起床時、就眠時、職場で午前10時と午後4時の1日4回、血圧と心拍数を測定し、ダブルプロダクトを算出した。
Kimura G, et al. Hypertens Res 2017; 40(7): 671-674.

さらに、木村氏らは、正常血圧のビジネスパーソンのみを対象に、職場高血圧に関する調査を実施しました。brその結果、健康診断では正常血圧と診断されていた157人のうち、45%が高血圧、38%が厳格な正常血圧、17%が職場高血圧であることがわかりました(図2)。「高血圧」、「厳格な正常血圧」、「職場高血圧」のどの群でも月曜午前にダブルプロダクトの上昇がありましたが、厳格な正常血圧の人では上昇幅が小さいのに対し、職場高血圧、高血圧の人では上昇幅が大きく、この2つの群では心血管事故のリスクが高まると考えられます。
このダブルプロダクトの上昇が心血管事故に関与しているかについてはさらなる検討が必要ではありますが、ダブルプロダクトの上昇を抑えることが重要です。木村氏は、ビジネスパーソンの健康を守るために、月曜午前はゆっくり仕事に着手する「スローマンデー」を提唱しています。

図2 正常血圧の分類

図2 正常血圧の分類
Kimura G, et al. Hypertens Res 2017; 40(7): 671-674.

※ご参考:『ビジネスパーソン調査』

ストレスによる血圧上昇を予防するには

高血圧を予防するには、まず自分の血圧を把握することが重要です。正常血圧の人でも血圧は常に変化しています。昼間のストレスによる血圧上昇を見逃さないために、頻回に血圧を測定してみましょう。血圧を測定し、問題があれば早めに対応することが心血管イベントのリスク軽減にもつながります。
また、ストレスをすべて排除することは難しいですから、趣味や友人との時間、社会活動など、気分転換になる時間を作ってみましょう。寝不足も高血圧の原因の一つですから、疲れた心を休めるために睡眠は十分とるようにしましょう。

参考

Kimura G, et al. Hypertens Res 2017; 40(7): 671-674.
高血圧治療ガイドライン2014 第2章血圧測定と臨床評価
吉田哲郎:日本臨牀2018; 76(8): 1442-1447

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