先日、高血圧と診断され、現在飲んでいるお薬はありますか?と聞かれました。漢方薬は大丈夫だろうと思って申告しなかったのですが...。

高血圧 治療・リハビリ
先日、高血圧と診断され、現在飲んでいるお薬はありますか?と聞かれました。漢方薬は大丈夫だろうと思って申告しなかったのですが...。
漢方薬も医師に申告しましょう。カンゾウ(甘草)が含まれる漢方薬を長期的に服用している場合は、カンゾウに含まれるグリチルリチンが高血圧を引き起こすことがあります。
カンゾウ(甘草、別名リコリス)が含まれている漢方薬を服用している場合は注意が必要です。カンゾウは痛み止めや抗アレルギー、解毒、抗炎症といった多彩な薬効を持つことにより、昔から世界中で広く使用されている生薬です。身近な漢方薬としては葛根湯や甘草湯などに含まれ、また甘味があり痛み止めの効果も持つことから、のど飴や健康補助食品などにも入っていることがあります。
ところが、カンゾウの主要有効成分であるグリチルリチンは、腎臓内のホルモン量の調節を妨げてしまいます。腎臓のホルモンは、体内の余分な塩分を取り除いたり必要に応じて再度吸収したりする働きがあるので、グリチルリチンがホルモン量の調節を妨げてしまうと、必要以上の塩分を腎臓で再吸収してしまい、高血圧を引き起こすことがあります。
長期的にカンゾウを服用していなければ高血圧に直結することは少なく、もし長期的に使用していても数週間の中止で改善することがわかっています。しかしながら、カンゾウ含めその他の漢方薬や健康補助食品が治療に影響を与える可能性もありますので、適切な高血圧の治療のためにも、服用している漢方薬や健康補助食品があれば必ず正確に医師に伝えるようにしましょう。

先生のプロフィール

島本 和明先生

島本 和明 先生

日本医療大学総長
略歴
昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長
ご専門
内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病

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