2014.11.10

vol.137 「帯状疱疹」で注意したいこと

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帯状疱疹とは

Vol.137 「帯状疱疹」で注意したいこと

季節の変わり目には、風邪などで体調をくずし、免疫力が低下しやすくなります。そんなときに注意したい病気の1つに、帯状疱疹(たいじょうほうしん)があります。
帯状疱疹は、水疱瘡(みずぼうそう)のウイルスが原因の、痛みをともなう皮膚湿疹のことです。症状には個人差がありますが、多くの場合、からだの一部にチクチク、あるいはピリピリとした痛みを感じることから始まり、やがてそこに紅斑(少し盛り上がったような赤い湿疹)ができ、続いて水疱ができて破れ、皮膚がただれ、かさぶたができます。その間も、痛みが続きます。軽い痛みで済む方もいますが、強い痛みを感じることが多く、夜眠れないほどの痛みに悩まされる方まで、さまざまです。

また、湿疹についても、病名のとおり帯状に広がるとされていますが、初期段階では、虫刺されやかぶれ、ほかの皮膚疾患などと思い違いする方が少なくありません。そのため、市販の軟膏などを塗っていて対処が遅れ、重症化させてしまうケースも多くみられます。
このように症状には個人差があるものの、原因はただ1つ、水疱瘡ウイルスです(※1)。水疱瘡そのものは、乳幼児や10歳以下の子供の約90%がかかる感染症ですが、そのとき体内に入ったウイルスは消滅せずに、神経節(顔面の三叉神経、脊髄神経、坐骨神経など)に数十年間も潜伏します(※1)。そのため、非常に多くの成人が水疱瘡ウイルスをもっていますが、健康で免疫力が強いあいだは活動が抑えられています。
ところが、中高年になり、加齢やストレス、疲労、感染症、生活習慣病などによって、からだの免疫力が低下すると、急に再活動を始めるのです。実際、発症者は40歳以上の世代が、約75%を占めています。

中高年の多くの方は、自分が水疱瘡ウイルスをもっていることなど、ほとんど意識していないでしょう。しかし、急に発症したときに適切な対処ができるように、帯状疱疹についてきちんと知っておきましょう。

(※1)体内に潜伏している場合は、水痘・帯状疱疹ウイルスともいいます。

中高年と帯状疱疹

通常、帯状疱疹は、湿疹に水疱ができたあと、水疱が枯れてかさぶたになり、それが取れるようになると治癒します。その期間は、3週間~1カ月程度とされています。
ところが中高年の場合には、治療がもっと長引くケースが少なくありません。その理由の1つは、発見の遅れです。
中高年になるにつれて、だれでも皮膚の保湿性やバリア機能が低下するため、乾燥性やアレルギー性の湿疹(皮膚炎)を起こすことが多くなります。また、糖尿病やその予備軍の方も少なくありませんが、高血糖状態になると、かゆみや痛みをともなう湿疹が出やすいことも知られています。
こうした既存の湿疹があると、どうしても初期の帯状疱疹の湿疹に気づきにくいため、受診が遅れ、治療にも時間がかかることになりがちです。
また、目の近くに帯状疱疹が起こると、目そのものが炎症による障害(角膜炎や結膜炎)を起こすことがあります。中高年の方には、さまざまな眼病(白内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、視神経の病気など)のある方も多いため、その場合には、目の治療への対応も必要になってきます。

さらに、中高年のなかでも、とくに高齢者が注意したいのが、帯状疱疹後神経痛です。帯状疱疹の皮膚症状(湿疹、水疱など)が治まったあとも、痛みだけが残ってしまう状態です。
これは、水疱瘡ウイルスによって、神経節が強いダメージ(損傷)を受けることによって、継続的な痛みが生じるものと考えられています。若い人の場合は、ダメージからの回復が比較的早いのですが、高齢になるほど遅くなり、それだけ症状も治療も長引く傾向がみられます。
病院では、帯状疱疹になってから3カ月程度痛みが継続する場合に、帯状疱疹後神経痛と診断されます。その場合は、内服薬などによる治療が必要となりますが、痛みが数年間も続くことがあるので、注意が必要です。
一般に、帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛は、いずれも早く受診するほど軽症で済み、治療期間も短くなるので、おかしいなと感じたらすぐに受診するようにしましょう。

帯状疱疹と脳卒中

帯状疱疹に関連して、海外の医療研究機関からの1つの報告が注目されています。それは、帯状疱疹にかかったあと、脳卒中(脳梗塞、脳出血など)のリスクが高くなるというものです。
同様の指摘は、数年前からみられましたが、データの正確性や原因の究明が不十分で、あまり周知されていませんでした。しかし、2014年4月に公表されたロンドン大学大学院をはじめとした大規模な共同研究では、かなり詳細なデータが示されています(※2)。
それによると、脳卒中のリスクは、帯状疱疹発症後1~4週(1.63倍)、5~12週(1.42倍)、13~26週(1.23倍)となっています。とくに帯状疱疹が顔面三叉神経など目に近い場所に出た場合には、それぞれ1.82倍、3.23倍、1.41倍と、リスクが高くなることが判明しています。そのため、帯状疱疹後の数日~3カ月程度は、とくに注意が必要とされます。
また、顔面の帯状疱疹ほどリスクが高いのは、帯状疱疹ウイルスが脳血管に入って炎症を起こしやすいことが原因として指摘されています。

その一方で、抗ウイルス薬で治療した場合は、脳卒中の発症リスクが約半分程度に低下することから、早期に抗ウイルス薬によるきちんとした治療を受けることの大切さも報告されています。
とくに中高年の方は、高血圧などでもともと脳卒中のリスクが高いことが多いので、注意しましょう。

(※2)18歳以上のイギリス人6584人を対象に、帯状疱疹後から脳卒中発症までの期間を比較検討。

帯状疱疹の早期発見と予防

一般に、帯状疱疹は自分では判断しにくい病気です。赤い湿疹を見つけて、受診するケースが多いはずです。
しかし、80%程度の人は、湿疹の前に、からだの片側にチクチク、ピリピリといった痛みを感じます。痛みの場所は、胸や腹、背中が多いのですが(60~70%)、顔をふくむ頭部や足に出ることも少なくありません。頭部の痛みは、頭痛と間違えることがありますし、胸部の場合は、狭心症や心筋梗塞かと誤解することもあります。
痛みは、ウイルスがすでに神経節を損傷しているためなので、理由不明の急な痛みをからだの片側に感じたら、まず皮膚科を受診するのが最適です。また、痛みと同じ場所に赤い湿疹が出たら、帯状疱疹の疑いが濃いので、すぐに受診しましょう。
日常の予防でもっとも大切なことは、免疫力を低下させないこと。食事のバランスに気をつけ、睡眠をきちんととるほか、持病のある方は自己管理もしっかりと。もし、帯状疱疹と思われる湿疹が出たら冷やさないこと(症状が悪化しやすい)、水疱が出たら破らないように(感染症になりやすい)しましょう。
一方、帯状疱疹後神経痛も、長期にわたり日常生活に支障を及ぼすので、予防が大切です。
湿疹などの皮膚症状が悪化してしまったり、痛みが強い方ほど、神経痛が残りやすいとされています。また、高年齢の方ほどリスクが高いのですが、最近はストレス社会の影響などで中年期から生活習慣病の方も多いので、40歳以上の方は帯状疱疹後神経痛に十分な注意が必要です。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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