vol.187 「健康寿命」をのばすために今年は何をすべきか?

はじめよう!
ヘルシーライフ

新年は1年の目標を立て、実現に向けて気合が入ります。仕事、生活、学問などに加えて、今年は健康の目標も立ててみてはいかがでしょうか?
近年、「健康寿命」という言葉が聞かれるようになりました。健康寿命とは、介護や人の助けを借りずに起床、衣類の着脱、食事、入浴など普段の生活の動作が1人ででき、健康的な日常が送れる期間のことをいいます。
これから先、生き生きと楽しい人生を送るには、心身共に健康であることが必要です。これからは意識を寿命から健康寿命にシフトしていきましょう。

vol.187 「健康寿命」をのばすために今年は何をすべきか?

寿命ではなく、「健康寿命」をのばすことに意識をシフト

新年は1年の目標を立て、実行に向けて気合が入ります。仕事、生活、学問などに加えて、今年は健康の目標も立ててみてはいかがでしょうか?
近年、「健康寿命」という言葉が聞かれるようになりました。健康寿命とは、介護や人の助けを借りずに起床、衣類の着脱、食事、入浴など普段の生活の動作が1人ででき、健康的な日常が送れる期間のことをいいます(※1)。
厚生労働省の公表によると、我が国の健康寿命は、2016年に男性72.14歳、女性74.79歳でした。2010年の調査に比べると男性が1.72年、女性は1.17年延びています(※2)。
一方、平均寿命は、2017年の発表によると女性は、87.26歳、男性は81.09歳となっています(※3)。健康寿命と平均寿命の差は10年前後あり、その期間は医療機関や家族などの手助けが必要となります。
米国イリノイ大学が発表した論文では、この期間を「レッドゾーン」と呼び、平均寿命の延長を目指すよりも、レッドゾーンをいかに短くするかが重要だと書かれています(※4)。今後は寿命よりも、健康寿命に意識をシフトしていくことが重要です。

健康寿命をのばす「7つの習慣」を実践しよう

生活習慣病は、健康長寿を妨げる大きな要因です。健康寿命をのばすために、以下の7つを習慣化できるといいでしょう(※1)。

  1. 生活習慣病を知って予防しよう
    生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣により引き起こされる病気のことで、がん、循環器疾患、糖尿病などがあります。生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因となるため、生活習慣病のことを知り予防することが大切です(※1)。
  2. 適切な食生活を目指そう
    主食、主菜、副菜をバランスよくとり、野菜多めのメニューにしましょう。果物を適度にとることも有用です。塩のとり過ぎは、高血圧による循環器疾患だけでなく胃がんのリスクを高めることがわかっています。食塩の摂取量の目安は男性が8g未満、女性は7g未満です(※1)。
  3. 適度な運動をしよう
    適度な運動は、心臓病、脳卒中、がん、足腰の痛みなど多くの病気のリスクを下げることがわかっています。18歳~64歳は、歩行以上の身体活動を毎日60分、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行うことを目標に、65歳以上は、強度を問わず、毎日40分の身体活動が適切です(※1)。
  4. 十分な睡眠をとろう
    健康維持には休養も大切です。健やかな睡眠があってこそ十分な休養をとることができます。規則正しい生活を行うと体内時計が整い、ホルモン分泌や生理的な活動を調整し快眠へ導きます(※1)。
  5. 禁煙しよう
    たばこの煙には、ニコチンやタールをはじめ、約200種類の有害物質、約70種類の発がん物質が含まれており、これらの物質が悪影響を及ぼし病気を引き起こします。また、喫煙する人の近くにいることで煙を吸ってしまうことを受動喫煙といいます。喫煙者が吸い込む煙(主流煙)より、たばこから立ちのぼる煙(副流煙)の方が有害物質を多く含んでいます。たばこを吸わない人は、煙にさらされないよう気をつけましょう(※1)。
  6. お酒と上手につきあおう
    アルコールの影響は肝臓だけでなく全身に及び、健康障害をもたらします。厚生労働省は、適度な飲酒量を、1日平均純アルコールで20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合、チューハイ350ml缶1本、ウイスキーダブル1杯)としています(※1)。
  7. 歯・口腔の健康を守ろう
    近年、歯周病と全身の病気との関連が報告されています(※5)。毎日の歯磨きと定期的な歯石除去を行って歯周病を予防しましょう(※1)。

両親の寿命と病歴を、健康寿命を延ばすことに活かす

病気は、遺伝と環境が因子としてあげられます。どちらが多くを占めているかは病気によって異なりますが、両親の寿命と病歴は、ある程度自分の健康寿命の指針となります。 英国エクスター大学の研究チームは、世界最大級の英国バイオバンクに登録されている55~73歳の男女約18万6000人を対象に平均8年間追跡調査し、両親の死亡年齢と本人の死亡リスクとの関係を分析しました。
両親のどちらか一方が70歳以上まで生存すると、60~70代に心臓病で死亡するリスクは平均より20%低下し、がんで死ぬリスクも7%低くなっていたそうです。また、両親のどちらかの寿命が10年伸びるごとに、あらゆる病気で死亡するリスクも50~80代で平均より約16%ずつ減っていました。(※5)
両親の病気や高血圧などの体質は、自分も素因を持っているかもしれないと考えることが適切です。健康診断などで、両親がかかった病気や体質に関連する数値が上昇したときは、専門の医師に早めに相談するといいでしょう。また、その病気特有の検査を人間ドックなどで行うのも健康寿命の延長につながります(※7)
これから先、幸せな人生を送るために健康であることは重要です。心を入れ替える機会となる新年。健康に関して、具体的な目標を立てて実践していくことが有効かもしれません。

(※1)厚生労働省「健康手帳」

(※2)厚生労働省「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料1-2」

(※3)厚生労働省「平成29年簡易生命表」

(※4)S. Jay Olshansky 「From Lifespan to Healthspan 」10.1001/jama.2018.12621

(※5)日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会「日本人はこうして歯を失っていく」朝日新聞出版

(※6)Atkins, JL「Longer-Lived Parents and Cardiovascular Outcomes: 8-Year Follow-Up In 186,000 U.K. Biobank Participants.」

(※7)小橋隆一郎「検査結果なんでも早わかり事典」主婦の友社

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

関連コラム

商品を見る