vol.189 3月3日は耳の日。「スマホ難聴」に気をつけよう

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3月3日は「耳の日」。この機会に耳の健康を考えてみてはいかがでしょうか?近年、スマートフォン(スマホ)の普及で問題視されているのが「スマホ難聴」。世界保健機関(WHO)は2019年2月、スマートフォンなどでヘッドフォンを使い音楽を聴く若者の増加を懸念し、国際電気通信連合(ITU)と音楽再生機器の使用に関する国際基準を公表しました。それによると、ヘッドフォンの使用は1週間に40時間以内にとどめるべきとしています(※1)。若年層から気をつけたい「スマホ難聴」ですが、中高年にもスマホの利用者が増えていることから、加齢性難聴の予防のためにも意識していきましょう。

vol.189 3月3日は耳の日。「スマホ難聴」に気をつけよう

スマホでの音楽鑑賞は1日1時間以内に

3月3日は「耳の日」。この機会に耳の健康を考えてみてはいかがでしょうか?近年、スマートフォン(スマホ)の普及で問題視されているのが「スマホ難聴」です。世界保健機関(WHO)は2019年2月、スマートフォンなどでヘッドフォンを使い音楽を聴く若者の増加を懸念し、国際電気通信連合(ITU)と音楽再生機器の使用に関する国際基準を公表しました。それによると、ヘッドフォンの使用は1週間に40時間以内にとどめるべきとしています(※1)。若年層から気をつけたい「スマホ難聴」ですが、中高年にもスマホの利用者が増えていることから、加齢性難聴の予防のためにも意識していきましょう。

WHOの発表によると、全世界でおよそ 4 億 6600 万人が日常生活に支障をきたすほどの聴覚障害を抱えており、2050 年までには 9億人以上が日常生活に支障をきたすほどの聴覚障害を抱えることになると推測されています(※2)。

かつて日本では「スマホ難聴」のことを「ヘッドホン難聴」、「ウォークマン難聴」ともいい問題視してきました。東京都が16歳から39歳を対象に平成19年に行った調査によると、70%がポータブルオーディオでヘッドホンを使用。1日当たりのヘッドホン使用時間は2時間未満という回答者が86.5%で大半を占めていましたが、4時間以上という回答者も3.2%いました(※3)。10年以上前の調査においてもヘッドホン使用量が多く、スマホが普及した現在ではさらに問題は深刻化しています。

ヘッドホンの音量は抑えめに

音は空気の振動です。その振動が外耳から入り、中耳にある鼓膜を振動させます。さらに、耳小骨から内耳にある蝸牛(かぎゅう)というカタツムリのような形をした器官に伝わります。蝸牛で振動が電気信号に変換され、聴神経を通って脳に伝わります。

スマホ難聴は蝸牛の障害で起こるとされています。蝸牛の細胞が完全に破壊されると、回復が難しくなるため、早めの対策が必要です。その対策の1つがWHOの指針による使用時間ですが、音量にも注意しましょう。スマホにヘッドホンをつけて音楽を聴いていると、ついつい音量を上げてしまい、蝸牛に負担をかけてしまいます。

音の大きさは、dB(デシベル)という単位を使い、音圧のレベルで表します。ヘッドホンを装着して自転車のベルが聞こえない音量で聞いていると70dB、自動車のクラクションが聞こえないレベルでは80dB程度とされています。WHOの発表によると、大人は80dB、子どもは75dBが限界だとしています。(※1)

70dBは騒々しい街頭、80dBは地下鉄の車内の音に相当します(※3)。これは周囲の大きな音が聞こえにくい、または全く聞こえていない状態です。難聴の原因になるだけでなく、車や電車の音が聞こえず事故の危険性も伴います。通勤や通学で使用している人は、使用時間だけでなく音量に十分配慮が必要です。

最近では、音量を上げすぎると警告が出るようになっているスマホや、設定画面でヘッドホンの最大音量を自分で制限できるものもあります。音量が上がりすぎるのを、未然に防げるといいですね。

50歳以上は加齢性難聴の進行につながる可能性も

スマホ難聴は若年層だけの問題ではありません。中高年にもスマホは広く普及し、音楽や動画などを視聴することが増えてきました。50歳以上では、スマホによるヘッドホン使用が加齢性難聴の進行にもつながる可能性があります。

加齢性難聴とは、蝸牛の中にある細胞が加齢とともに壊れていき音が聞き取りにくい状態になることで、難聴の中でも最も多くの割合を占めています。加齢性難聴を進行させる原因の1つに、大音量や騒音にさらされることが挙げられており、ヘッドホン使用には注意が必要です(※4)。

50歳以上は加齢性難聴をすでに発症している場合もあり、ヘッドホンの音量を推奨レベル以上に上げてしまう場合は、加齢性難聴のサインかもしれません。さらに、以下のサインがある場合は、医療機関で検査を受けることをお勧めします。加齢性難聴が完治することはなく、進行を予防することしかできません。一度壊れた蝸牛の細胞は元に戻らないからです。

<加齢性難聴のサイン>

  1. 1.電話の声や電車のアナウンスが聞き取りにくい
  2. 2.テレビの音が大きいと周囲から言われた
  3. 3.後ろから声をかけられても気が付かなかった
  4. 4.人の話を聞き返すことが多い
    (※4)

難聴が進行すると、生活にさまざまな支障が出てきます。ずっと好きな音楽を聴き続けられるように、スマホの使用方法に気を遣えるといいですね。

(※1)a WHO-ITU global standard「Safe listening devices and systems」ISBN 978-92-4-151527–6 (WHO)

(※2)WHOファクトシート「難聴と聴覚障害」

(※3)東京都「イヤホンの使用が聴覚に及ぼす影響についての調査結果」

(※4)「NHKきょうの健康 不調すっきり解消法」主婦と生活社

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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