vol.190 職場のストレスを減らして、五月病を防ごう
ヘルシーライフ
4月は入社、転勤など職場の変化が多くストレスが溜まりやすい季節。新しい職場環境でストレスを溜めこむと、五月病につながる可能性があります。全国1000人のビジネスパーソンを対象に行った調査によると、7割超が日々ストレスを抱えており、五月病になったことがある人は2割超だという結果が出ています(※1)。今回は職場のストレスについて再認識し、ストレスを溜めない工夫をご紹介します。

職場ストレスの原因は、仕事の質や量、役割や地位の変化、対人関係、失敗、責任
4月は入社、転勤など職場の変化が多くストレスが溜まりやすい季節。新しい職場環境でストレスを溜めこむと、五月病につながる可能性があります。全国1000人のビジネスパーソンを対象に行った調査によると、7割超が日々ストレスを抱えており、五月病になったことがある人は2割超だという結果が出ています(※1)。
厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によると、心の健康を保つには労働者自身がストレスに気付き、これに対処するための知識、方法を身に付け、それを実施することが重要だとしています(※2)。
「労働安全衛生調査」(平成29年 厚生労働省)によると、「強いストレスになっていると感じる事柄がある労働者の割合」は、平成24年から60%前後を推移しています(※2)。ここ数年、半数以上の労働者が、職場で強いストレスを感じているということです。その内容として多いものは、仕事の質や量、対人関係(セクハラ・パワハラを含む)、役割、地位の変化等(昇進、昇格、配置転換)、仕事の失敗、責任の発生となっています。
今年から働き方改革法案が実施され、仕事量に関しては見直しを図る企業が増えてくると考えられますが、その他は自分自身のコントロールが必要です。
早く気付きケアを行う事が、心の健康づくりには大切
ストレスで心の健康を損なわれないようにするためには、まずはストレスに気付くことが重要です。身の回りにストレス要因はないか、気が付かないうちにストレスに対する反応が出ていないかチェックしてみましょう。
ストレス反応は、抑うつ状態、イライラして怒りっぽいなど感情の変化だけでなく、肩こりや胃の不快感など体調に現れることもあります。日常の生活に以下のサインが表れていないかチェックしてみましょう。
- 心理的側面
抑うつ状態、意欲の低下、イライラ、緊張、不安など - 身体的側面
高血圧、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病、首や肩のこり、動悸(どうき)、息切れ、下痢、便秘、食欲不振、不眠、肥満など - 行動的側面
作業効率の低下、作業場での事故、アルコール依存、過食、拒食(※3)
厚生労働省HP「こころの耳」にも簡易評価ページがありますので(2019年3月現在)、利用してみるといいかもしれません。
人間はストレスに直面すると、意識せずにその負担を軽減する行動をとっています。これはストレス対処行動、「ストレスコーピング」といわれています(※4)。しかし職場環境では、ストレスコーピングを思うままに使うことができないこともあり、ストレスを溜め込んでしまうことが考えられます。現代の職場環境においては、意識してストレスコーピングを使うことが必要なのかもしれません。
ストレスコーピングをバランスよく使い、負担を軽減
ストレスコーピングには、以下のような型があります。
- 問題焦点型
直面している問題に対して、自分の努力や周囲の協力を得て解決したり、対策を立てる方法 - 情動焦点型
誰かに話して感情を外に出し、聞いてもらうことで気持ちを整理する方法 - 気晴らし型
運動、趣味、レジャー、リラクゼーションなどで気分転換やリフレッシュを行う方法(※4)
ストレスコーピングは、どれがいいというものではなくバランスよく使っていくことが大切です。しかし現代は、職場でのパワハラを意識しすぎて感情を外に出せなかったり、休みをとることに抵抗があるなど、ストレスコーピングが行えず抑うつ状態からの回復が遅くなる傾向にあります。時には、他人に迷惑をかけない程度に感情を解放したり、休みをとってゆっくりすることを心がけましょう。
また、ストレスの原因となっていること・ひとから距離を置く、見方や発想を変えて前向きに考えるといった方法も有効です。
ストレスは悪いことだけではありません。ほどよいストレスはパフォーマンスを向上させることにもつながります。適切なコーピングをバランスよく使って、心身の健康を保ちましょう。
(※1)チューリッヒ生命「2018年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査」
(※2)厚生労働省 平成29年「労働安全衛生調査」
(※3)中央労働災害防止協会「こころの健康 気づきのヒント集」
(※4)坪井康次「ストレスコーピング -自分でできるストレスマネジメント-」心身健康科学6巻2号2010年
※このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。