vol.73 気をつけたい「薬の飲み合わせ」

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薬の飲み合わせとは

薬は、逆から読むと「リスク(危険)」となります。薬は病気を治すために必要なものですが、飲み方を間違うと実際に危険なこともあるのです。

その典型といえるのが、複数の薬の飲み合わせです。例えば、病院で処方してもらった風邪薬を飲んでいるときに、頭が痛いからと市販の鎮痛薬を飲み足したことはないでしょうか。あるいは、風邪と皮膚炎などいくつかの病気を抱えていて、複数の医療機関で治療を受けたとき、医師どうしが知らずに、よく似た薬を処方してしまうような場合もあります。

こうしたケースでは、複数の薬の成分どうしが反応して、予想外の強い作用が出たり、反対に薬が効きにくくなったりすることがあります。 これを薬の「飲み合わせ(相互作用)」といいます。薬の効き目が強まって、体調をくずし、場合によっては生命に危険が及ぶこともあります。反対に、薬が効かなくなって治療の効果が出なくなる可能性もあるため、注意が必要です(※1)。

これは市販の薬に限った話ではありません。漢方薬やハーブ、サプリメントでも、相互作用が起こるケースがあります。中高年になると、高血圧などの慢性疾患や皮膚疾患などで薬を常用している方も多くなるので、身体に有害な薬の飲み合わせと予防法についてきちんと知っておきましょう。

(※1)病院で一人の医師から複数の薬を処方されることは、よくあります。風邪の治療で、解熱薬と咳止め薬、胃腸薬を一緒に処方されるような場合です。こうした場合は、医師が安全な組み合わせを考えて薬を処方します。また病気によっては、医師の判断で複数の薬を意図的に使用し、相互作用を利用して治療することもあります。この場合にも、医師が治療効果と安全性を考慮しています。いつもと異なる症状があったり、心配な場合は、自己判断で薬をやめたり減らしたりするのでなく、医師に相談してください。

vol.73 気をつけたい「薬の飲み合わせ」

注意したい相互作用

薬の飲み合わせには、いろいろなタイプがありますが、大別すると「薬の効き目が必要以上に強まる場合」と、「薬の効き目が弱まり、治療効果が上がらない場合」とがあります。

(1) 効き目が必要以上に強まる(過剰作用)

<似た成分の薬の飲み合わせ>
よく似た作用の薬を一緒に飲むと、効き目が強くなりすぎ、体調をくずしたり、内臓障害を起こしたりしかねません。例えば最初に例に挙げた、病院で処方してもらった風邪薬と一緒に、市販の鎮痛薬(アスピリンなど)や睡眠改善薬などを飲むようなケースです。また、風邪などで内科を受診している方が、同時に耳鼻科や歯科を受診し、消炎薬や鎮痛薬などを処方してもらうこともあります。

一般的に、解熱薬、鎮痛薬、消炎薬、咳止め薬、睡眠改善薬などには、よく似た成分が含まれているものが多くあります。重ねて飲むと、強い眠気やめまいを起こしたり、意識がもうろうとしたり、胃腸や肝臓の障害を起こしたりすることがあるので気をつけましょう。

<分解を妨げる薬の飲み合わせ>
薬は肝臓で分解され、適度な濃度となって体内へ送られます。ところが、片方の薬の成分がもう一方の薬の成分の分解を妨げると、分解されないまま体内に残り、効き目が強くなって過剰作用を起こすことがあります。

有名な例では、1990年代初めに起こった皮膚疾患の薬ソリブジンと、抗がん薬(フルオロウラシル系)の併用があります。ソリブジンが抗がん薬の分解を妨げ、必要以上の濃度の抗がん薬の成分が体内に入ったため、血液障害などの重篤な副作用が起こったものです(※2)。

このケースでは、患者さんの治療が皮膚科と内科に分かれ、医師が薬の情報を把握しにくかったことも、有害な相互作用の一因となりました。現在、同じ病院内では医師間の情報交換が改善されていますが、異なる医療機関にかかる場合や市販の薬を一緒に使用する場合には、十分な注意が必要です。

(2) 効き目が弱まり、治療の妨げになる

<相反する作用の薬の飲み合わせ>
反対の作用をもつ薬を一緒に飲むと、お互いに効き目を打ち消し合い、治療効果がみられなくなることがあります。また、薬の成分どうしが結びついて、身体に吸収されにくいものに変化し、期待される治療効果が出ないケースもあります。

例えば、抗菌薬(ニューキノロン系)を使用しているときに、胃酸を中和するタイプの胃腸薬を一緒に飲むと、抗菌薬の効果が弱まることが知られています。
また、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェンなど)と利尿薬を一緒に使うと、利尿薬の効果が弱まることがあります。あるいは降圧薬(ベータ遮断薬)と喘息の治療薬(ベータ刺激薬)も、お互いの薬の効果を打ち消す作用を起こしやすいものです。

こうした飲み合わせは、過剰作用のような重大な副作用には結びつきにくいものの、病気が治りにくくなるだけにかえって危険なこともあります。

(※2)ソリブジンは帯状疱疹などウイルス性皮膚疾患の薬ですが、販売中止になり、現在は使用されていません。

漢方薬やハーブにも注意を

天然の植物や鉱物から作られる漢方薬やハーブなどは、一般的に安全性が高いと思われていますが、強い成分を含むものも意外と多いことをご存知でしょうか。

例えば、風邪や咳止めに使用される麻黄湯(まおうとう)や葛根湯(かっこんとう)といった漢方薬には、麻黄(まおう)という成分が含まれています。この麻黄は、一般の咳止め薬や気管支拡張薬などに含まれているエフェドリンと同じものです。

それを知らずに併用してしまうと、エフェドリンの血液濃度が必要以上に高まります。エフェドリンには血管を収縮する作用があるため、取りすぎると心臓に悪影響を及ぼします。以前、エフェドリンを含むダイエット薬がインターネットなどで話題になりましたが、狭心症や心筋梗塞を起こす例がいくつも報告されています(※3)。このことからも、エフェドリン(=麻黄)の過剰摂取は非常に危険であることがわかるでしょう。

ハーブの例を紹介しますと、ハーブティによく使われるカモミールには鎮静作用があるので、就寝前やリラックスしたいときに気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。その一方で、血管を拡張させる作用があることから、血栓を防ぐ薬ワルファリンと一緒に取ると、血液が固まりにくくなって、出血しやすくなります。

薬の相互作用は、薬どうしだけでなく、薬と食べ物・飲み物でも起こることがあります。中高年の方には、血栓予防のためにワルファリンを飲んでいる方が少なくありませんが、カモミールだけでなくガーリック(ニンニク)、ジンジャー(ショウガ)なども血流をよくする働きがあり、出血しやすくなるので注意が必要です(通常の食事から取る程度の量なら心配ないとされていますが、サプリメントで取る場合や、血栓の疑いがある方などは医師に相談してください)

ほかにも、降圧剤とグレープフルーツジュース、総合感冒薬(風邪薬)とコーヒー、抗菌薬・抗生物質と乳製品などの組み合わせは、相互作用を起こすことがあります。不安があるときは医師や薬剤師に相談しましょう。

(※3)エフェドリンを含む薬がダイエットに効果があるという報告は、全くみられません。エフェドリンは胃腸障害や食欲不振を起こしやすい成分です。そのため食べ物を受けつけなくなって、結果としてダイエットになるといわれますが、こうした薬の使用法は非常に危険です。

有害な相互作用を予防するには

ここに挙げた例のほかにも、注意すべき薬の飲み合わせは数多くあります。患者さん自身ができる予防策として、次のような方法を知っておきましょう。

(1) いつも飲んでいる薬について知っておく

高血圧糖尿病、肝臓病などで毎日薬を飲んでいる場合、一緒に飲んではいけない薬の種類を、医師から聞いておきましょう。市販の風邪薬、鎮痛薬、胃腸薬など、普段何げなく使う薬やサプリメントへの注意を確認しておくことも大切です。

(2) 「お薬手帳」を上手に利用する

薬局で「お薬手帳」をもらって、自分が飲んでいるサプリメントの記録もつけるのもいい方法です。薬名などがわからなくても、薬剤師が記録してくれます。いつも行く薬局(調剤薬局)を決めておき、薬剤師から併用してはいけない薬などについてアドバイスを受けるようにしましょう。

複数の医療機関を受診する場合も、「お薬手帳」を持参して医師に見せれば、使用中の薬がすぐにわかります。

(3) 異なる医療機関を受診したら使用中の薬を告げる

異なる医療機関を受診するときに、たとえ医師から質問されなかったとしても、自分が今飲んでいる薬について必ず伝えるようにしましょう。

内科、外科、耳鼻科、歯科など診療科が違っても、よく似た成分の消炎薬や抗菌薬などが処方されることがあるので、自分が使用中の薬について正確に伝えましょう。もしくは、、薬そのものを持参して医師に見せることで、薬の重複や飲み合わせを確認することができます。

参照URL
『飲み合わせの注意』日本調剤
https://www.nicho.co.jp/column/20441/

更新日:2020.12.18

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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