2010.05.10

vol.83 坐骨神経痛...軽く考えずに対策を

LINEで送る 一覧に戻る

その痛みは坐骨神経痛かも

Vol.83 坐骨神経痛...軽く考えずに対策を 歩いているときやいすから立とうとしたときなどに、お尻や太ももに痛みやしびれを感じたことはありませんか。もし、そんなことがあったら、坐骨神経痛の可能性があります。
当初は、湿布薬を貼る程度で治ってしまうことが多いので、つい軽く考えがちです。ところが症状をくりかえすうちに、痛みで歩けない、いすから立ち上がることができない、といった状態になることがあります。さらに悪化すると、立っているのがつらい、でも、座っても寝ても痛む、といった状態にもなりかねません。
日常生活にも大きな支障を及ぼすので、そうなる前に坐骨神経痛とそのケアについて知っておきましょう。
坐骨神経痛は昔から知られた病名ですが、実際には病気というよりも、坐骨神経に生じた痛みやしびれなどの総称のこと。坐骨神経は末梢神経のなかでも最大のもので、お尻から太もも、ふくらはぎへとつながる長い神経です(ひざから下では、すねや足底の神経とつながっています)。
そのため痛みやしびれの出る場所も、人によってさまざま。お尻から太ももの部分が多いものの、ひざ裏やもっと下の部分に症状が出る人も少なくありません。
原因も、人によっていろいろです。初期には運動のしすぎや、反対にデスクワークによる運動不足などで起こることもあります。さらに椎間板(ついかんばん)ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)など、多様なケースがあります。
それだけに軽症のうちに自分の原因を確認し、予防をふくめてきちんとした対策をとることが大切です。

注意したい椎間板ヘルニア

坐骨神経痛の原因のなかでも、年齢を問わず多くみられるのは、腰部椎間板ヘルニアです。椎間板は、背骨の骨と骨のあいだにあるクッションのようなものですが、なんらかの原因で椎間板がつぶれて飛び出し、神経を刺激すると痛みが起こります。
椎間板ヘルニアは、10~30代の若い人にも少なくありません。仕事やスポーツなどで、腰に慢性的に力が加わったり、不規則に強い力が加わったりすると、圧迫されて椎間板が飛び出すことがあるためです。
中高年の場合には、加齢にともなって椎間板の柔軟性が少しずつなくなり、飛び出しやすい状態になります。椎間板ヘルニアによる痛みはあるとき急に強くなるので、突発的と思われがちです。しかし、少し前から軽い痛みやしびれなどを感じていることが少なくありません。
もし、軽い坐骨神経痛をくり返す場合には危険信号です。あお向けに寝て足を伸ばし、片足をまっすぐゆっくり上げていったときに痛みが強くなるケースでは、椎間板ヘルニアの可能性があります(※1)。
椎間板ヘルニアは初期なら鎮痛薬とけん引などの方法で、かなり改善が可能です。けん引というのは、器具を使って骨盤などを引っ張り、椎間板の負担を軽減する方法です。
悪化すると、レーザー治療などの方法で飛び出した椎間板の切除が必要になります。以前にくらべると手術は大幅に進歩していますが、患部の場所や程度によってはしびれなどが治りにくいこともあります。椎間板ヘルニアの可能性があったら、できるだけ早めに受診しましょう。

(※1)このテストをラセーグテストといい、病院ではひざを伸ばして片足を30度以上上げられるかどうかなどの方法で、椎間板ヘルニアの診断材料とします。自分でやる場合はあくまでも一つの目安と考え、きちんとした検査を受けましょう。

中高年に多い脊柱管狭窄症

中高年になるにつれ、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)による坐骨神経痛が多くなってきます。脊柱管というのは、背骨(脊椎)のなかにある神経の通り道のことです。
加齢にともなって脊椎にある椎間板や椎間関節、じん帯などが老化し、変形してきます。その結果、脊柱管が圧迫されて神経を刺激すると、痛みやしびれを感じるようになります。
テレビ司会者のみのもんたさんがこの病気になり、一時話題になりましたが、けっして特殊な病気ではありません。中高年には一般的なもので、だれにでも起こる可能性があります。ただし専門医(形成外科など)でないと正確な診断がつきにくい面もあるので、症状がなかなか治まらない場合には専門病院で検査を受けることが大切です。
脊柱管狭窄症の場合、お尻や太ももの痛みなどのほかに、間歇(かんけつ)歩行になりやすいという特徴があります。歩いていると痛みやしびれがひどくなり、少し休むとまた歩けるようになる…そのくり返しが間歇歩行です(※2)。
また、人によっては、下肢に力が入らず、つまずきやすい、階段を上りにくいといった症状や、尿が出にくい、残尿感があるなどの排尿障害が起こることもあります。坐骨神経痛に加えて、間歇歩行などの症状がみられる場合には、脊柱管狭窄症を疑って早めに受診してください。

(※2)間歇歩行は、閉塞性動脈硬化症などが原因でも起こります。脊柱管狭窄症の場合には、前かがみの姿勢で腰を少し曲げると楽になるとされていますが、ほかの病気と区別するためにも早期受診が大切です。

ミニコラム

梨状筋症候群とは

坐骨神経痛の原因のなかでも、運動と密接な関係にあるのが梨状筋(りじょうきん)症候群です。梨状筋はお尻にある筋肉の一つで、運動などによって炎症などの障害を起こすと、坐骨神経を刺激し、痛みが生じることがあります。中高年になって運動をはじめたところ、坐骨神経痛を起こしたというケースでは可能性があります。また、運動とは反対に、長時間のデスクワークのように同じ姿勢をとり続けた場合にも、梨状筋が圧迫され症状を起こすこともあります。スポーツの世界以外ではあまり知られていない原因ですが、椎間板などに異常がない場合には疑ってみましょう。

坐骨神経痛を予防する

坐骨神経痛は、軽度のうちなら体操などによって自分でも予防したり、改善したりすることができます。ただし、強い痛みがあったり、歩きにくいといった状態の場合には、自己流でやると悪化させてしまうことがあるので、かならず受診して医師の指導を受けてください。
坐骨神経痛の予防や改善には、ストレッチと筋肉運動が効果的です。
ストレッチは背骨や筋肉などをゆっくり伸ばし、緊張をほぐすことで、椎間板や脊柱管への負担を軽減する運動です。デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢を続けることが多い人は、ときどきストレッチをしましょう。

(A1)立った姿勢で足を軽く開き、からだの力を抜いて手を前に伸ばし、からだを前にゆっくり倒していきます。腰部の骨や筋肉を伸ばすのが目的なので、無理に倒す必要はありません。呼吸をしながら2~3秒その姿勢をキープしたら、ゆっくり元の姿勢にもどります(同じ運動を4、5回くり返します)。

(A2)立ったままがつらい場合は、いすに腰かけた姿勢で、同じように手を伸ばしてからだを前に倒す方法でもかまいません。自宅なら、床に座って足を伸ばし、手を前に出してからだを倒す方法もいいでしょう。

一方、筋肉運動は、中高年になるにつれて衰えた腰部や太ももの筋肉を強化することで、椎間板や脊柱管への負担を軽減する運動です。いろいろな運動がありますが、ここでは運動不足の人や高齢者でも無理なくできるスクワット(屈伸)をご紹介します。

(B)両足を軽く開いて立ち、からだの力を抜きます。いすに腰かける感じでお尻をゆっくり下ろしていきます。ひざが90度以上は曲がらない位置でとめ、呼吸をしながらその姿勢を2~3秒キープしたら、元にもどります。同じ運動を一度に 5~6回、できれば1日に2~3回やりましょう。
お年寄りの場合はお尻を下ろしたときにバランスをくずすと、転倒する危険性もあるので、壁の前やいすの前でやるといいでしょう。

いずれの運動も、痛みなどを感じた場合には中止し、けっして無理をしないでください。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

この記事をシェアする

LINEで送る
blank 商品のご購入はこちら
このページの先頭へ戻る