2012.08.10

vol.110 「LH比」を目安にコレステロールを見直す

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LH比とは?

Vol.110 「LH比」を目安にコレステロールを見直す 脂質異常症は、血液中に悪玉といわれるLDLコレステロールや中性脂肪が増えることで、動脈硬化心筋梗塞などを引き起こす原因となる病気です。患者数は中高年層を中心に、予備軍までふくめると2000万人以上にもなると推定されています。
脂質異常症は以前、高脂血症と呼ばれていました。しかしコレステロールの中でも、善玉のHDLコレステロール値については高いほうがいいことが判明し、現在は多くの病院で脂質異常症という名称になっています(※1)。
その脂質異常症の診断で最近、「LH比」が重視されていることを、ご存じでしょうか。
LH比とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」で示される比率のこと。たとえば、LDLコレステロール値が135mg/dlで、HDLコレステロール値が45mg/dlとすると、「135÷45=3」で、LH比は3.0となります。
例で示したLDLとHDLの数値(135mg/dl、45mg/dl)は、個別にみると、どちらも現在の基準では「正常」の範囲です。治療が必要とされるのは「LDLコレステロール値が140mg/dl以上」、または「HDLコレステロール値が40mg/dl未満」なので、どちらにも該当せず、健康状態ということもできます(※2)。
ところがLH比でみると3.0というのは、じつは動脈硬化が進んだ「かなり危険」な領域なのです。それはなぜでしょうか。まず、LH比が何を意味するのかを知っておきましょう。

(※1)コレステロールは、リポたんぱく(脂質+アポたんぱく)というカプセル状になって血液中を移動します。体の隅々へ運ばれるものがLDLコレステロールで、余分に蓄積すると動脈硬化などの原因となるので「悪玉」とされます。それに対して、体から回収されるものがHDLコレステロールで、余分なコレステロールを減らすので「善玉」とされます。HDLコレステロール値が高ければ、コレステロールの回収量も多いことを意味し、脂質異常症になりにくいことになります。

(※2)脂質異常症の診断基準の詳細については、「生活習慣病ガイド(脂質異常症)」をご参照ください。

LH比は悪玉と善玉のバランス

悪玉のLDLコレステロールが血液中に増えると、血栓ができやすくなり、心筋梗塞などのリスクが高まります。そのため、LDLコレステロール値については、現在の診断基準をより厳しくしたほうが良いとの指摘が以前からみられました。
実際に、各地の病院における調査報告から、LDLコレステロール値が正常(140mg/dl未満)なのに、心筋梗塞を起こしたという例が非常に多いことが分かってきています(※3)。
一方、そうした患者さんの多くが、善玉とされるHDLコレステロール値が低いか、正常の範囲内(40mg/dl以上)であっても低めという傾向がみられます。
それらのことから、LDLとHDLは別々に考えるのでなく、両方のバランスが重要とされ、LH比はその目安として注目されるようになっています。

ではLH比は、どの程度ならいいのでしょうか。病院での調査例などから、LH比が2.0を超えると血管内のコレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われ、2.5を超えると血栓ができている可能性があり、心筋梗塞のリスクも高いことが指摘されています。その反対にLH比が1.5以下では、血管内がきれいで健康な状態です。
そこでLH比の目安として、「ほかに病気がない場合には2.0以下に」、また「高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの前歴がある場合には1.5以下に」することが望ましいとする病院が増えています。
最近は健康診断で、LDLとHDL両方のコレステロール値を計測することが一般的になってきています。LH比(LDL値÷HDL値)は簡単に計算できるので、コレステロールを見直すきっかけにしましょう。

(※3)日本大学医学部附属板橋病院(秦光賢医師ら)、小倉記念病院(横井宏佳医師ら)などの報告による。糖尿病や高血圧があると、LH比が低めでも心筋梗塞のリスクが高いことも報告されています。

悪玉コレステロールを減らす

LH比を改善し、健康な血管を維持するためには、「悪玉のLDLコレステロールを減らす」ことと、「善玉のHDLコレステロールを増やす」ことの両方が大切です。
そこでまず、LDLコレステロールを減らす3つのコツについて知っておきましょう。

①コレステロールの合成を促進しない
コレステロールの70~80%は体内(肝臓)で合成されます。摂取カロリーが必要以上に増えると、コレステロールの体内合成が促進され、LDLコレステロールが増えるので、基本は食べ過ぎないことです。腹8分目を心がけましょう。

②LDLコレステロールを減らす食品を摂る
コレステロールを減らそうとする場合、鶏卵や魚卵などコレステロールの多い食品を制限することが多いはず。その反面、コレステロールを減らす食品のことは忘れがちです。植物性たんぱく質(大豆や豆腐など)、水溶性食物繊維(海藻、きのこ、豆、根菜など)には、コレステロールを吸着し、減らす働きがあります。また、魚類(イワシ、サバ、マグロなど)に多い不飽和脂肪酸(DHAやEPA)は中性脂肪を減らすと同時に、心筋梗塞のリスクを高める小型タイプのLDLコレステロールを抑制する働きがあります(※4)。毎日の食事に、こうした食品を取り入れましょう。

③LDLコレステロールの酸化を防ぐ
血液中のLDLコレステロールが酸化すると、動脈硬化が促進され、血栓ができやすくなります。酸化を引き起こす最大の原因がタバコなので、禁煙をしましょう。また、酸化を防ぐビタミンCやEを多くふくむ食品(緑黄色野菜、ナッツ類など)をきちんと摂ることも忘れずに。

(※4)LDLコレステロールは小型化すると血管壁に吸収されやすくなり、血栓をつくり心筋梗塞のリスクを高めるので「超悪玉」と呼ばれます。中性脂肪が増えると、小型LDLコレステロールも増える傾向がみられます。

善玉コレステロールを増やす

善玉のHDLコレステロールを増やす最大のポイントは、適度の運動を続けること。とくにジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やすのに効果があります。
どの程度の運動が効果的かは、個人差(年齢や健康状態など)がありますが、ウォーキングなら1日30分程度を週4日以上おこなうことを目安にしましょう。
また、1日の歩行数が1万歩以上の人は、2000歩未満の人と比較すると、HDLコレステロールが平均で10%以上多いとするデータもみられます(厚生労働省『国民健康・栄養調査』)。したがって、仕事などの関係で定期的な運動ができない場合でも、「できるだけ多く歩く」ことを心がけましょう。階段(昇り)は負荷が大きく、運動効果も高いので、駅や会社ではかならず階段を利用することも忘れずに。
また一般に、血糖値が高い人や肥満気味の人は、HDLコレステロール値が低い傾向がみられます。ウォーキングなどの有酸素運動は血糖値の改善、肥満の解消により、HDLコレステロールを増やすことにもつながります(ただし治療中の方は、医師に相談のうえで運動を始めてください)。

歩くことには、もう1つ効用があります。動脈硬化は自覚症状がなく、気づかないうちに進行しやすいのですが、足には比較的早くサイン(危険信号)が出ます。
少し早く歩くと息切れを起こす、ふくらはぎが痛む、坂道や階段の途中で足が上がらないなどの症状がみられたら、動脈硬化の可能性があります。とくに、数百メートル歩いただけで足の痛みで歩けなくなり、少し休むとまた歩けるといったケースでは、「閉塞性動脈硬化症(太い血管の慢性的閉塞)」という危険な病気が疑われるので、早めに受診して検査を受けることが大切です。

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