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2015.09.10

vol.147 生活習慣病を引き起こす「習慣」とその改善方法は?

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Vol.147 生活習慣病を引き起こす「習慣」とその改善方法は?

長年にわたる悪い生活習慣によって引き起こされてしまうのが生活習慣病。遺伝的要素はごくわずかで、食事や運動不足、ストレス、喫煙や過度の飲酒といった生活習慣の積み重ねによって起きることが明らかになっています。自分では当たり前と思っていた習慣を改善しないでいると、将来取り返しのつかない事態を招きかねません。ではいったいどうすればいいのでしょうか。
今回は、それぞれが関連して起こる危険性のある生活習慣病のうち、高血圧動脈硬化、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞などを中心に、運動や食事などの改善すべきヒントをお伝えします。

生活習慣病対策は、まず食事の改善から

食事は自分の好みが反映されるため、長期間続けてしまう傾向があります。しかし、体によくない食習慣を続けることで、生活習慣病につながってしまう可能性があるのです。
下記の項目で思い当たる点はないでしょうか。
・濃いめの味付けが好き
・野菜をあまり食べない
・ファストフードやコンビニ弁当をよく食べる
・朝食を抜いてしまうことが多い
・お腹がすいて眠れないと、つい夜食を食べてしまう
・お腹いっぱい食べないと気がすまない
・早食い

血圧、血糖値、脂質。この3項目の数値は、生活習慣病と大きくかかわりがあります。腹囲が増えている場合も注意が必要です。そのため、健康診断を毎年欠かさず受け、これらの数値を前年と比較してみましょう。気になる場合には、問診で相談するのも一つの手です。
もちろん血圧は高血圧、血糖値は糖尿病、脂質は脂質異常症から動脈硬化に直結してしまいます。また、腹囲はメタボリックシンドロームの判断材料になります。内臓脂肪はお腹周辺につきやすいためです。これらの生活習慣病は自覚症状がほとんどないか、かなり進行してから症状が現れるため、数年単位で比較して悪化していないかどうかを把握しておくことが重要なのです。

塩分の摂り過ぎは高血圧に結びつきます。血圧の数値が気になったため、自宅では減塩タイプ食品の活用を始めた人がいました。しかしその人も、ランチでフライにはソースをたっぷりかけ、おひたしには醤油をたっぷり。「家での食事があっさり味のため、昼くらいは好きな味が食べたい」とばかりに反動が出てしまっていたのです。もちろん野菜を多めにとろうとメニューを考えたのでしょう。しかし、塩分の多い調味料を多く使っては逆効果です。小皿に調味料を入れ、それをつけて食べるようにする方がいいでしょう。
自宅では、濃いめに出汁をとったり、カレー粉などの香辛料を使ったりすることで、塩分が少なめでも満足感をアップできます。レモン汁や酢を活用することも、減塩に結びつきます。
ちなみに酢に含まれている酢酸は、血圧やコレステロール、中性脂肪を下げ、内臓脂肪を減らす効果があることが明らかになっています。さらに、酢を摂ることでカルシウムの吸収力もアップします。だから毎日の食生活に賢く活用したいものです。
カリウムにはナトリウムを排出する働きがあります。カリウムは新鮮な野菜や果物などに多く含まれていますので、積極的に摂るようにしましょう。しかし野菜を水でさらしたりお湯でゆでたりすると、カリウムが溶け出してしまいます。それを取り返そうとして野菜スープなどを全部飲んでしまうと、カリウムだけでなく塩分も大量に摂ることになってしまいますので気をつけましょう。

食後には血糖値が上がりますが、急激な上昇を防ぐためには野菜から食べることが一番です。基礎代謝を向上させるために、たんぱく質を最初に食べるといいという意見も最近よく耳にしますが、いずれにせよお米や麺類などの炭水化物より先に、野菜や肉・魚類を食べる方が健康的といえそうです。
また、スイーツなどの甘い物だけでなく、高脂肪の食品を食べ過ぎることも糖尿病の原因になります。同時に、早食いであまり噛まない人や、いつも満腹になるまで大食いをしてしまう人は、さまざまな生活習慣病につながってしまう可能性がありますから、注意が必要です。

運動は基本中の基本

運動不足は生活習慣病の発症を手助けしてしまいます。運動によって血管を健康な状態に保てば動脈硬化を防ぐことができ、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを減らすことが可能なのです。同時にメタボリックシンドロームも解消することが可能です。そのため、下記の項目に思い当たる点がある人は、運動不足解消を心がけましょう。
・事務職なので仕事中はほとんど歩かない
・休日は外出せずに家にいることが多い
・駅に階段とエスカレーターがあれば、必ずエスカレーターを使う
・最近、汗をかくような運動をした記憶がない

例えばII型糖尿病は、遺伝的要素に「食べ過ぎ」「運動不足」「肥満」「精神的ストレス」「加齢」などが加わると発症するといわれています。もちろん遺伝的要素がある場合でも、しっかり運動をしていれば発症しない人もいます。体を動かすことによってエネルギーを消費すれば、血糖値が上がりにくいからです。

生活習慣病を防ぐためには、週に3日以上、1回30分程度の運動を実践する必要があります。もちろん毎日運動できれば、その方が理想的であることはいうまでもありません。よく知られている方法ですが、通勤・通学時にひと駅前で降りて歩くというやり方も効果的です。問題なのは、続けて行うことができるかどうかです。
激しい運動である必要はありません。ウォーキングなどの有酸素運動で十分です。水泳やラジオ体操といった運動も効果的です。膝の痛みなどの問題がない人は、軽いジョギングもいいでしょう。いずれにせよ「自分に合っていて、続けられる運動」を見つけることが一番です。
ただ、早朝のウォーキングには気を付ける必要があります。睡眠時には体内の水分が失われていますから、起床後すぐにウォーキングを始めるのではなく、水分を補給して1時間程度たってからスタートしましょう。

「遠くのスーパーマーケットにある野菜が新鮮だから、休日はそこまで買いに行く」
「無料で楽しめる公園を1周すると、飽きずに30分歩くことができる」
「ショッピングモールを全フロア回ると1時間以上楽しめる」
こういった複数のモチベーションを活用すれば、持続可能なウォーキングができるに違いありません。

適度な運動をすると、睡眠にもいい影響を与えます。睡眠の質を上げるためには、寝る直前までスマホをいじっていたりパソコン画面を見つめていたりといったことは避けましょう。ブルーライトは睡眠の質を下げるということが、さまざまな研究結果で明らかになっているからです。

生活習慣病は、複数の病気が関連するケースが多い

生活習慣病は、複数の病気が結びついてしまう心配があります。
動脈硬化は血管にコレステロールや脂肪などがたまって硬くなったり、血管壁が厚くなったりするものですが、主な原因として指摘されているのが高血圧や脂質異常症、糖尿病などです。また、動脈硬化によって、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や心筋梗塞などが引き起こされてしまいます。
糖尿病では血糖値が増えていますが、同時に血中のナトリウムが増加するなどの原因で、高血圧につながってしまう可能性があります。また、糖尿病患者では中性脂肪が増える傾向があります。そのため肥満につながったり、内臓に余分な脂肪がついたりして脂質異常症になることがあります。

また、脂質異常症や肥満の人はインスリンの働きが低下してしまうため、血糖値が上昇して糖尿病になってしまうケースがあります。ほかにも肥満の人は体内を循環する血液の量が増えて血圧が上昇することで、高血圧症になる危険性を秘めています。また、肥満から内臓脂肪が増え、それが肝臓についてしまうと脂質異常症につながることも考えられます。
つまり、血管を健康に保つことは、生活習慣病を防ぐ基礎ともいえます。また血圧や血糖値、内臓脂肪などは、どれか一つが急激に悪化すると、近い将来ほかの部分にも悪影響が考えられるのです。

生活習慣病になるのは大人だけではない

生活習慣病は、かつて「成人病」と呼ばれていました。かかってしまってから対策を行うのではなく、予防することが先決であるという考えから、1996年に生活習慣病という名称に変更されたのです。そのため「加齢だから仕方がない」と考えてしまう部分がどうしても残ってしまっています。しかし、成人だから生活習慣病になるというわけではないことを表すデータがあります。

2014年に香川県が小学4年生を対象に行った血液検査で、脂質、血糖値、肝機能の数値に異常が見られた子どもの割合が10%前後にも達していました。
総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪に関していずれか一つでも異常値を示した子どもは男子10.2%、女子11.5%でした。血糖値に関してはヘモグロビンA1cを調査したところ、糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高い子どもは、なんと男子12.0%、女子10.9%にも達していました。AST、ALT、γ-GTPに関していずれか一つでも異常値を示した子どもは男子12.4%、女子9.5%となっており、小学生でも肝機能に異常が見られたというものです。

検査値に異常が見られた子どものほとんどが
・毎日腹一杯食べる
・早食い
・食事時間が不規則
・外遊びをしない
・1日のゲーム時間が長い
といった生活習慣だったことがわかっています。つまり小学生であっても、生活習慣によって将来の病気にかかるリスクが高くなってしまうのです。

この検査結果を受けて、子どもだけでなく保護者に対して食事や運動に関する生活指導や啓発活動が行われました。その効果が表れ、これらの数値が改善される例が増えてきているといいます。家族全体で生活習慣を改めることが、子どもにとって、将来の生活習慣病になるリスクを減らすことが可能だということがおわかりいただけると思います。

厚生労働省の調査によると、日本人の1日の野菜摂取量は男性296.4g、女性271.6g、塩分摂取量は男性11.1g、女性9.4gとなっています。そして1日の平均歩数は男性7099歩、女性6249歩です(いずれも20歳以上の平均値)※1。
これに対して野菜の摂取量は1日350g、塩分摂取量は8g(日本高血圧学会では6g未満を推奨)、歩数に関しては、男性9000歩、女性8500歩(いずれも20~64歳)が目標とされています※2。
もちろんこの3項目をクリアするだけで、生活習慣病にかかるリスクがすべてなくなるわけではありません。睡眠や喫煙、飲酒の量などをはじめとしたその他の生活習慣もかかわっているからです。しかし野菜でいえばミニサラダか小鉢一つ分、歩数に関しては約20分のアップ、そして減塩に努めるだけでも、生活習慣病のリスクを減らせる可能性があります。食事も運動も、ほんの少しの頑張りを続けることが重要だといえそうです。

※1 平成25年国民健康・栄養調査

※2 厚生労働省 健康日本21(第2次)

健康を維持するための独自のアイデア:関根勤さん特別インタビュー


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