vol.181 UVケアにプラスして、ブルーライトケアも始めよう!
ヘルシーライフ
紫外線による健康被害が広く知られるようになり、初夏から夏、秋にかけて紫外線量が多くなる季節は、UVケア(紫外線対策)を行う人が増えてきました。紫外線は、日焼け、しわ、たるみ、しみ、カサつき、ざらつきなどの皮膚のトラブル、皮膚がん、白内障などを起こしやすくするといわれています。(※1)そこで、帽子、日傘、サングラス、サンスクリーン剤(日焼け止め)などによるUVケアの重要性が高まってきました。
同時に、意識したいのが近年注目されるブルーライト対策。ブルーライトとはスマホやパソコン、LED照明からでる青い光というのは周知されてきましたが、太陽光の可視光線にも含まれていることをご存じですか?パソコンやスマホ操作の時だけでなく、ウォーキングなどで外を歩くときも、ブルーライトの影響を意識してケアすることが大切です。

紫外線とブルーライト
太陽の光には目に見える光(可視光線)と、目に見えない紫外線と赤外線が含まれています。光は波長によって分類され、770ナノメートル以上の波長が長い光を赤外線、440~770を目に見える光である可視光線、400ナノメートル以下を紫外線と分類しています。紫外線は、さらに、315~400ナノメートルをUV-A、280~315ナノメートルをUV-B、100~280ナノメートルをUV-Cとしています。UV-Cは酸素分子とオゾン層で完全にさえぎられて地表には届きません。(※2)
UV-AとUV-Bは、体に与えるダメージのメカニズムが異なります。UV-Aは、活性酸素を発生させ酸化ストレスを引き起こし、UV-Bは直接的に細胞のDNAに障害を与えるとされています。(※3)酸化ストレスとは活性酸素により酸化され、細胞が傷つくことをいいます。
一方、ブルーライトとは、波長が380~500nm(ナノメートル)の青色光の可視光線です。ヒトの目で見ることのできる光(可視光線)の中でも、もっとも波長が短く、強いエネルギーを持っています。パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレーやLED照明に、ブルーライトが多く含まれ、目への影響が問題視され知られるようになりました。ブルーライトによる目への影響は、眼精疲労や網膜の中心にある黄斑に障害が生じる加齢黄斑変性の原因の1つといわれています。(※4)加齢黄斑変性は米国では50歳以上の人の失明原因のトップ(※4)で、わが国でも加齢黄斑変性は増加傾向にあり、50歳以上の 80 人に 1 人が罹患しているとされています。(※5)
ブルーライトは紫外線と同様に目への影響や皮膚の老化を引き起こす
パソコンやスマートフォン、LED照明から出るブルーライトの健康被害が周知されるようになり、ブルーライトカットのメガネが普及してきました。しかし、忘れてはならないのが屋外の可視光線のブルーライトです。紫外線量が多くなる季節は、屋外の可視光線にも注意が必要です。
地上に到達する太陽光中に含まれる紫外線の割合は5%ですが、可視光線は約50%を占めます。(※3)
マウスを使った研究によると、可視光線と赤外線の中でブルー以外の波長(グリーン、レッド、近赤外、赤外線)の照射では、酸化ストレスが起こらず、ブルーライト照射だけが、皮膚の酸化ストレスを起こすことが分かりました。その影響は、UV-Aの65%にあたるとされています。(※3)
つまり、UV-Aと同様に細胞のダメージを起こし、皮膚の老化の促進や発がんの一因となることが考えられるということです。(※3)
実は、通常のサンスクリーン剤はUV-A、UV-Bの光を吸収または反射させて皮膚を保護しますが、可視光線からは保護されないためブルーライトのケアも必要となってきます。
ブルーライトカットのサングラスや日焼け止めを
ブルーライトから目や皮膚を保護するためには、ブルーライト対応のサングラスやサンスクリーン剤を使用することがポイントです。サンスクリーン剤を選ぶ際には、ブルーライトに対応しているかどうかを確認してから購入しましょう。サングラスも同様で、ブルーライト対応のものを選ぶようにしましょう。
ブルーライトカットのサングラスは、屋内でパソコンの利用をする際にも利用しますが、屋外で使うものは、乱反射を考慮して横からの光もカットするものを選ぶといいでしょう。
また、夜間の運転にも目を保護するためにブルーライトカットグラスは有用になります。自動車、自動2輪、計器類、道路標識にも省エネのためLED照明が多用されるようになりました。LED照明はブルーライトを多く含みます。ただし、夜間運転の際は、危険防止のため色が入っていないものや夜間運転用のものを選ぶようにしましょう。
また日中でもサングラスは、色の濃いものをかけると、目に入る光の量が少なくなるため瞳孔が普段よりも大きく開きます。そのため、かえってたくさんの紫外線やブルーライトが眼の中に入り危険な場合もあるので注意しましょう。(※2)
サンスクリーン剤とサングラス以外の屋外におけるブルーライト対策は、紫外線と同様です。
- 紫外線の強い時間の外出を避ける
- 日陰を利用する
- 日傘を使う、帽子をかぶる
- 衣服で覆う (※2)
完全に紫外線やブルーライトをカットするとビタミンD不足から骨が弱くなるという心配も出てきます。(※1)生活や活動シーンによって、上手に対策を行っていきましょう。
※1 日本放送協会; NHK出版「NHK きょうの健康 2018年 6月号」
※2 環境省「紫外線環境保健マニュアル2008」
※3 Nakashima Y「Blue light-induced oxidative stress in live skin.」
※4 J Life Sci Res 2014;12;15-19
※5 日老医誌 2014;51:330―335
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