症状から早期発見する

糖尿病の初期には、はっきりした自覚症状はありません。
しかし次のような症状は、糖尿病が関係している可能性があるので注意が必要です。

疲れやすく、根気がない

インスリンの働きが低下すると、ブドウ糖をうまくエネルギーに変換できず、疲れやすくなります。からだだけでなく、脳へのエネルギー供給も不足し、根気がなくなったり、イライラすることも多くなります。

太る

余分なブドウ糖が増え、脂肪細胞にとり込まれると肥満を引き起こします。肥満になるとインスリンの働きが低下し、糖尿病の悪化につながります。

薄味の料理を物足りなく感じる

亜鉛の不足から味覚障害を起こし、薄味の料理を物足りないと感じるようになります。どんな料理にもソースやしょう油、マヨネーズをかける人は要注意です。

視力が落ちて矯正しにくい

血行障害などが原因で視力が低下したり、かすんだりします。糖尿病性の視力障害の場合には、メガネやコンタクトレンズで矯正しにくいという特徴がみられます。

手足にタコやイボができやすい

からだの末端部の血行が悪くなるため、タコ、魚の目、イボなどができやすくなります。同じ理由から、できものが増え、また治りにくくなることもあります。

足にしびれやむくみが起こりやすい

神経障害の影響で、足に軽いしびれやむくみなどが起こることがあります。

のどが渇き、水分をほしがる

進行した糖尿病の典型的な症状のひとつで、のどがやたら渇き、水などの飲みものを多くとるようになります。

尿の回数や量が増える

腎臓の機能が悪化するため、トイレが近くなったり、尿の量が多くなることがあります。

理由もなく急にやせる

ブドウ糖をうまくエネルギーに変えることができないため、急にやせることがあります。ダイエットもしていないのに、1カ月に2kg以上やせた場合には注意しましょう。

こうした症状は糖尿病のシグナルともいえます。いくつか重なった場合には、糖尿病を疑って早めに受診することが大切です。

ワンポイントアドバイス

糖尿病の人は、そうでない人に比べて2倍以上、歯周病になりやすいといわれています。また、歯周病の人は、そうでない人に比べて糖尿病の罹患率が約2倍高いとされています。糖尿病になると免疫が低下するため歯周病になりやすく、また、歯周病菌によってインスリンの働きが悪くなってしまうため糖尿病になりやすいという関係にあるのです。そのため、日本糖尿病学会と日本歯周病学会はともに診療ガイドラインを設け、糖尿病と歯周病の治療を同時に行うようにしています。例えば、「歯周病の2型糖尿病患者に歯周病治療を行うと、HbA1cが改善する可能性がある」など、具体的な報告も増えています。