2014.10.10

vol.136 肺炎は予防と早期発見が鍵!

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肺炎が増えている

Vol.136 肺炎は予防と早期発見が鍵!

高齢者の増加にともない、肺炎にかかる方が多くなっています。厚生労働省の資料によれば、2011年には脳梗塞などの脳血管疾患を抜いて、日本人の死亡原因の第3位になっています(※1)。
肺炎といえば、一般に「風邪をこじらせたりしたときに、起こりやすい病気」と思われがちです。たしかに、発熱、悪寒、咳、痰など、典型的な初期症状は風邪とよく似ています。
しかし、肺炎は風邪とは違って、からだの抵抗力(体力や免疫力)が低下したときに、細菌やウイルスに感染することによって起こる病気です。もっとも多くみられるのは、肺炎球菌による感染で約30%を占めていますが、そのほかインフルエンザ、マイコプラズマ、クラミジア、ストレプトコッカス、黄色ブドウ球菌など、多くの原因となる菌があります。こうした細菌やウイルスには、普通の風邪薬は効かないので、風邪くらいと思って油断して放置していると、急速に悪化して呼吸困難を引き起こし、死にいたることもあるので十分な注意が必要です。

肺炎が増えている背景には、高齢者の増加のほか、糖尿病などの生活習慣病や呼吸器、心臓、腎臓などの病気をもつ方が多いこと、また膠原病や慢性関節リウマチなどの治療で、ステロイド薬や免疫抑制薬などを服用している方も多いことなどが、指摘されています。これらの持病や薬は、抵抗力を低下させることがあり、肺炎のリスクが高くなるからです。
それだけに、高齢者はもちろんですが、生活習慣病が増える中年期から、肺炎の予防に関する知識や生活習慣を、しっかり身に付けておくことが大切だといえるでしょう。

(※1)厚生労働省「人口動態統計(2011年)」。

注意したい高齢者の肺炎

肺炎による死亡者の96.5%を、65歳以上の高齢者が占めています。
その理由として、高齢になるほど体力も免疫力も少しずつ低下するため、細菌やウイルスによる感染症にかかりやすいこと。また、さまざまな持病のある方が多いため、感染症にかかると重症化しやすいことが指摘されています。
それに加えて肺炎の場合には、高齢者独特の特徴がいくつかみられます。その1つは、高齢者には、肺炎の典型的な症状が出にくいという点です。
高熱、悪寒、咳と痰、胸痛などがあまりみられず、ただなんとなくだるい(倦怠感)といった程度の症状にすぎないことも少なくありません。そのため発見されたときには、すでに重症化しているケースが多いのです。こうした高齢者の特徴を、本人はもちろんですが家族も知っておき、軽い風邪のような症状であっても、長引くときは早めに受診し、肺炎を起こしていないかどうかの検査を受けることが大切です。

高齢者にみられるもう1つの特徴は、誤嚥(ごえん)によるものです。
高齢になると、飲み込む機能が低下するため、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入ってしまい、むせることが多くなります。そのとき、飲食物や唾液などに含まれている細菌が気管から肺に入り込むと、肺炎を発症しやすくなります(誤嚥性肺炎)。
誤嚥を防ぐためには、次のことを心がけましょう。
(1) ゆっくり食事をすること。
(2) 少量ずつ口に入れること。
(3) 良い姿勢で食事をすること。
(4) 食べながら喋らないこと。

また、高齢の方は、インフルエンザから肺炎を引き起こすことも多いので、インフルエンザ・ワクチンなどの予防接種を、きちんと受けておくことも大切です。肺炎の原因菌でもっとも多くみられる肺炎球菌にも、予防のための肺炎球菌ワクチンがあるので、持病などによって肺炎のリスクが高い方は、効果や費用などをふくめて医師と相談してください(※2)。

(※2)肺炎球菌ワクチン(高齢者用の23価肺炎球菌多糖体ワクチン)は、肺炎球菌によるさまざまな感染症の約80%に対応できるとされています。保険適用外ですが、自治体によっては公費補助もあります。肺炎球菌ワクチンでも、肺炎の発症を完全に防ぐことはできませんが、仮に肺炎になっても、重症化を防ぐ効果があるとされています。

中年期から気をつけたいこと

肺炎で亡くなる方は、65歳以上の高齢者に多いものの、肺炎そのものは子どもや若い世代にもみられます。とくに注意したいのは、中年期(30歳代~50歳代)の方々です。
中年期には、さまざまな生活習慣病やその予備軍の人が増えてきますが、きちんと治療を受けていない方が少なくありません。たとえば、肺炎との関係が深い糖尿病については、「糖尿病といわれた人の半数以上が、治療を受けていないか、途中で治療をやめてしまっている」という調査結果がみられます(※3)。
肺炎と糖尿病は、あまり関係がなさそうに思えるかもしれませんが、血糖値の高い状態が続くと、細菌やウイルスの侵入を防ぐ好中球(白血球の成分)の機能が低下し、免疫機能全体もうまく機能しなくなります。
そのため、肺炎をはじめとした感染症にかかりやすく、また、重症化しやすいことが分かっています。さらに、感染症にかかると、血糖値がより上昇するという、悪循環に陥りやすいことも指摘されています。

同様に、肺炎のリスクを高める病気に、心不全、腎不全、肝硬変、COPD(慢性閉そく性肺疾患)などがあります。こうした持病のある方や、検査などで予備軍とされたことのある方は、放置せずに、医師による適切な治療や生活指導を受けることが、肺炎の予防につながります。
また、中年期は仕事や家事に忙しい時期でもあるため、慢性的な睡眠不足や不規則な食生活になりがちです。疲労の蓄積や栄養の偏りが続くと、気づかないうちにからだの抵抗力が低下し、風邪やインフルエンザから肺炎を引き起こす可能性も高くなります。
自分の生活習慣を時々見直して、自分に不足しているものを自覚し、昼寝で睡眠不足を補ったり、生野菜やジュースでビタミン類を多めにとるなどの工夫をしてみましょう。

(※3)厚生労働省「国民健康・栄養調査(2011年)」。30歳代では約74%、40歳代では約53%、50歳代では約51.5%が、治療を受けていない。

肺炎の予防のために

肺炎は、手遅れになると怖い病気ですが、その一方で、日常生活のちょっとした注意で予防することもできます。次のことを、ふだんから心がけるようにしましょう。

  1. (1) からだの抵抗力を高めるからだの抵抗力を高める
    • 適度の運動をする
      たとえば、20分~1時間程度のウォーキングをすると、NK細胞などの免疫細胞が活性化されることが指摘されています(※4)。ただし、激しい運動は、逆に免疫力を低下させるので、無理はしないように気をつけましょう。
    • 食生活を見直す
      たとえば、免疫活性を高める食品として知られる、ビタミンCを多く含む果物や野菜のほか、キノコ、ヨーグルトなどを食事にとり入れましょう。
    • 腸内環境を整える
      免疫細胞の60%~70%は、腸内にあります。便秘をすると、免疫細胞の働きが低下するので、便秘しないように心がけましょう。
    • よく笑う
      笑うと、NK細胞などが活性化され、免疫力が高まることが知られています。軽い笑いでも、効果があるとされています。
  2. (2) 細菌やウイルスの侵入を防ぐ
    • 外出時にはマスクを着用する
      とくに、風邪やインフルエンザの流行時には、マスクは必携です。鼻の上からアゴまでを覆う、隙間のないマスクを選ぶことが大切です。
    • 手洗いを励行する
      外出から帰宅したときだけでなく、仕事や家事のあとなどにも手を洗う習慣をもちましょう。肺炎の予防には、石鹸で洗うよりも、アルコール消毒薬が効果的です。ポンプ式のアルコール消毒薬が、使いやすく便利です。
    • うがいをする
      帰宅時だけでなく、食事のあとや歯磨き時にも、うがいをしてノドの雑菌などを排除しましょう。
    • 口の中を清潔にする
      歯磨きやマウスウォッシュで、口の中をいつも清潔に保ちましょう。とくに高齢者は、睡眠中の咳などで唾液を飲みこむとき、細菌が入りやすいので、就寝前の口腔ケアはしっかりと。
    • 禁煙する
      タバコを喫っていると、ノドが荒れるだけでなく、線毛による排出機能がにぶくなり、細菌やウイルスが侵入しやすくなります。とくに一度禁煙した人が、また喫いだすと、急性の肺炎を起こしやすいとされているので注意しましょう。

このほか、前章で紹介したように、持病の治療や管理をしっかり行うこと。また、睡眠不足や食事の偏りに気をつけることも忘れずに。

(※4) NK (ナチュラルキラー)細胞は、ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃するリンパ球の一種。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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