心房細動の治療

心房細動の治療として、心房細動を抑制する(心臓の動きを正常に戻す)ための治療のほか、脳梗塞を予防するための治療も行われます。

心臓の拍動を正常に戻すための治療

心房細動に対する治療として、「抗不整脈治療」と「カテーテルアブレーション」の2つがあります。どちらの治療も早期に行ったほうがより高い効果を期待できるので、日常生活で心房細動とうまく付き合っていくためにも、早期発見・治療が非常に大切です。

心房細動を抑える「抗不整脈治療」

抗不整脈薬は心拍数を正常に戻し、心房細動を抑えるものです。主には、不整脈の症状があり、日常生活に支障がある場合に抗不整脈薬が選択されます。

心筋の異常な部分を“焼く”治療「カテーテルアブレーション」

カテーテルを足の付け根から心臓まで入れ、異常な電気信号を出している部位を焼き切る方法です。根治を目指すことができますが、約30~40%の患者に再発リスクがあり、またそのうちの約半数以上が無症候性であるため、持続的な心電図のモニタリングが必要です(図)。
薬が効きにくくなったらカテーテル治療を行うのが一般的ですが、慢性化するとカテーテル治療の成功率も下がるため、最近は年齢などを考慮して早めにカテーテル治療に踏み切るケースが増えています。

図:カテーテルアブレーション治療

図:カテーテルアブレーション治療

脳梗塞を予防するための治療

全脳梗塞の20~30%は心房細動によるもので、心房細動になると大きな脳梗塞(心原性脳塞栓症)を起こすリスクが高くなるため(Lesson2参照)、心房細動の治療時には脳梗塞のリスク評価を行い、必要に応じて脳梗塞を予防するための薬物治療が行われます。主に抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)が使用され、服用を続けることで、心房細動が原因の脳梗塞のリスクを60%以上低減することができます。
また最近では、血栓ができやすい心臓の部位にフタをして血栓が脳に飛ぶことを防ぐカテーテル治療(左心耳閉鎖システム)も行われるようになっています。