COPDが増悪するとどうなる?

COPDが増悪した時の症状

「COPDの増悪」とは、息切れの増加や、咳や痰の増加、胸部の不快感や違和感が現れるあるいは増すなど、これまで安定していた治療では症状が改善せず、治療の変更が必要となる状態のことをいいます。この増悪は、急に現れる場合もありますが、ゆるやかに現れる場合もあります。

増悪予防の重要性

COPDは、増悪するたびにQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)や呼吸機能が低下するだけでなく、増悪を繰り返すと生命予後をも悪化させてしまうので、増悪を繰り返さないことがとても重要になります。そのため、症状が安定している時でも、増悪の予防を目指して日常生活を送ることが大切です。増悪予防のためには、禁煙、ワクチン接種、呼吸リハビリテーションなどが有効です。

増悪の予防に有効なこと

禁煙

喫煙者では、禁煙者に比べて増悪の頻度が高くなります。禁煙によって増悪は1/3に減るというデータもありますので、禁煙に努めるようにしましょう。

ワクチン接種

増悪する大きな原因の一つが、気道感染です。気道感染を予防するため、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種が有効です。

身体活動性の維持

身体の活動性が低下すると、増悪の頻度が増加したり、生命予後が悪化したりするため、身体の活動性を保つために運動をするなど、体力・筋力の維持に努めましょう。身体活動性の指標には、歩数計測などが用いられます。また、増悪後に「呼吸リハビリテーション」を行うことで、QOLや運動能を改善し、再入院を減らせる可能性があります。

持病の管理

COPDの他に併存疾患(いわゆる持病)をお持ちの方は、COPD増悪の原因となるため、その病気の予防や治療も行いましょう。特に、胃食道逆流症(胃の内容物が食道へ逆流して起こる病気)や、抑うつ、メタボリックシンドローム、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、COPD増悪との関連があると報告されていますので、より注意が必要です。

監修:鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器内科学分野 教授 井上 博雅先生