2008.09.10

vol.63 そのだるさ、「低血圧」が原因かも

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低血圧には診断基準がない

Vol.63 そのだるさ、「低血圧」が原因かも

やる気はあるのにからだがだるい、疲れてすぐ横になりたくなる…ほかに病気がないのに、そんな症状が続く場合は、低血圧のせいかもしれません。
高血圧の危険性については、テレビや週刊誌などでもたびたび取り上げられていますが、低血圧は、病気としてあまり重視されていない面があります。

低血圧の症状は、全身のだるさ(倦怠感)、めまい頭痛肩こり耳鳴り不眠胃もたれ、吐き気、発汗、動悸(どうき)、不整脈など、多岐にわたります。どれも本人にとってつらい症状であるにもかかわらず、すぐに生命にかかわるものではないと思われているせいか、医療機関での対応が遅れているようです。

例えば、高血圧と比べると、低血圧には国際的な診断基準がありません。日本の病院では、最高血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下を目安としているところもありますが、確定的なものではなく、病院(医師)によって違いがあります(※1)。

明確な基準がないうえ、人によって症状にも違いがあるので、低血圧についてはあまりよく知られていないのが現状です。受診する機会も少なく、1人で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

やる気はあるのに身体がだるい、疲れてすぐ横になりたくなる…ほかに病気がないのに、このような症状が継続してみられる場合は、低血圧のせいかもしれません。心当たりのある方は、定期的に血圧を測定してみましょう。最高血圧が常に110mmHg以下だとしたら、低血圧が原因で不調が起こっている可能性もあります。検査を受け、病気との関連や、自分の低血圧のタイプを知っておくことが大切です。

(※1)病院(医師)によっては「110~100mmHg以下」、あるいは「110~85mmHg」を目安にしているところもあります。

ミニコラム

低血圧は若い女性に特有のものと思われがちですが、実際には男性にも少なくありません。全体的には女性に多いものの、中高年になるにつれ男女差は小さくなります。高齢者の場合、血圧が低下すると失神や転倒などの危険性があるので、特に注意が必要です。

あなたの低血圧のタイプは?

(1) 本態性低血圧

低血圧の中で最も多いのが、原因がよく分からない「本態性低血圧」です。多くは体質的なものですが、両親や兄弟(姉妹)に低血圧の人がいる場合には、遺伝による可能性もあります。病院では、ほかに病気の可能性がない場合に、本態性低血圧と診断されます。

(2) 起立性低血圧

ベッドから起き上がったときや、いすから立ち上がったときなどに、急にフラッとするのが「起立性低血圧」です。一般には、20mmHgを上回る収縮期血圧の低下、10mmHgを上回る拡張期血圧の低下、またはその両方がある場合に、起立性低血圧とされます。

原因として、低血圧による脳の血液量の減少が考えられます。そのほか、血圧を調節する自律神経の障害によっても起こります。そのためこのタイプは、日ごろ低血圧でない人にもみられます。

(3) 二次性低血圧(症候性低血圧)

病気や薬が原因で低血圧になるタイプです。よく知られているのは、糖尿病で血糖値コントロールがうまくいっていないときに起こりやすい起立性低血圧です。そのほか循環器系疾患(心臓の弁や血管などに異常がある場合など)、内分泌系疾患(アジソン病など)(※2)、パーキンソン病、がん、甲状腺異常などの病気でも、低血圧を引き起こすことがあります。

高齢者が二次性低血圧になる原因として多いのが、薬による副作用(降圧薬など)や、食後低血圧といって食事の後にめまいやだるさを感じるタイプです。日ごろ高血圧気味の高齢者でも、こうした一時的な低血圧がみられることがあります。

(※2)アジソン病は副腎皮質ホルモンの分泌低下により、気力や筋力、食欲などの減退、低血圧などの症状がみられる病気。

ミニコラム

低血圧と貧血は、めまいや立ちくらみなど一部の症状が似ていますが、実はまったく違うものです。貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンの減少によって発症するもので、最も多い原因は鉄分の不足です。ただし、慢性関節リウマチなどほかの病気によって起こることもあります。めまいを繰り返す場合や、手足のしびれ、節々のこわばり、黄疸などがみられる場合は早めに受診しましょう。

食事を見直そう

低血圧の人は、食欲不振などから食事をきちんと取らないことが多く、栄養バランスが悪くなりがちです。1回ごとの量は多くなくてもいいので、3食きちんと食べるように心がけましょう。

特にタンパク質(肉類、魚類、納豆などの大豆食品)をしっかり摂取すること。また、不足しがちなミネラルを補うために、野菜や海草類を積極的に摂ることも大切です。高血圧の場合には塩分が制限されますが、低血圧では反対に塩分をきちんと取る必要があります(ただし、必要以上に摂る必要はありません)。

一般的に、低血圧の人は疲れやすいので、塩分とクエン酸(疲労回復に効果的)の多い梅干を、食事と一緒に取るのもいい方法です。水分不足になると血液量の減少につながるため、水分を多めに摂取しましょう。1日あたり1L~2Lが目安になります。ただし、脚などにむくみが出る場合は、量を減らしてください(脚のむくみは、次の運動を参照してください)。

血液を心臓に戻す運動を

一般に低血圧の人は、脚や手などの末端部の血管の収縮力が弱く、血液の循環が悪くなりやすい傾向にあります。つまり、末端部の血液が、心臓にうまく戻らないのです。それがむくみの原因にもなります。

脚の場合、血液の循環に大きな役割を果たしているのは、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉を鍛えるには、ウォーキングや階段の上り下りが有効とされています。ウォーキングは、頭痛や肩こりがあるときの気分転換としてもお勧めです。ただし、頑張って早歩きをすると、動悸や息切れを起こしやすい人もいます。そのような症状が出たら、無理をせず、散歩のつもりでゆっくり歩きましょう。

なかなか時間が取れない人なら、自宅での階段昇降もいい方法です。階段といっても、急な階段を上り下りするのは危険なので、玄関の段差など1段だけを利用します。

転倒しないように壁などに手を添えて、1段を上り、後ろ向きに下ります。年齢にもよりますが、50~100回を目安にゆっくり取り組みます(時々、上るときの脚を左右入れ替えるようにしてください)。ふくらはぎに筋肉が付くことで自然に脚の血液循環が改善され、むくみの解消にもつながります。

適当な段差がない場合や、高齢で脚が上がりにくい人は、たまった雑誌や新聞紙を10センチくらいの高さに束ね、ガムテープやヒモでしっかり固定したものを利用します。高齢者の場合は高さを低めにしてください。雑誌などが崩れて滑ると危険ですので、しっかり束ねて固定しましょう。これならリビングでテレビを見ながらでも運動ができます。ただし、めまいや動悸、息切れがある場合には、必ず医師に相談してから運動をはじめましょう。

手先の血液循環をよくするには、手をにぎったり、開いたりという動作をくり返し行うのが効果的です。末梢(まっしょう)神経の働きの改善にもつながるので、30~50回程度を目安にやってみましょう。この場合も、手に強いしびれなどがある場合には、まず医師に相談してください。

※自宅で、手軽にできるエクササイズ情報はこちら。「かんたん・健康エクササイズ<動画>」

ミニコラム

低血圧の場合、人ごみや暑い場所にいると、疲れや頭痛などの症状が悪化しがちです。できるだけ人ごみをさける、つきあいはほどほどにする、暑い日の外出はしない、外出する場合は早めに休憩を取る…などの方法で、予防しましょう。

(参考)
『起立性低血圧』MSDマニュアル プロフェショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/04-心血管疾患/心血管疾患の症状/起立性低血圧

更新日:2021.04.16

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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