疾患・症状

骨粗しょう症が原因となる腰痛・背中の痛み

骨粗しょう症は女性に多い病気です。日本の骨粗しょう症患者のうち、女性が男性の約3倍を占めるといわれています。骨粗しょう症になると、気づかないまま骨が折れているケースも少なくありません。腰や背中が痛いといった症状はありませんか? 骨粗しょう症による骨折が隠れている可能性があるので、そのままにせず早めに骨密度の検査を受けましょう。

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目次
骨粗しょう症とは
骨の役割と骨粗しょう症が起こるしくみ
骨粗しょう症と腰痛

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症はどんな病気?

骨粗しょう症は、加齢とともに骨のカルシウムが流出し、骨量が減少して、骨がもろくなる病気です。骨粗しょう症になると、ちょっとした衝撃でも骨折しやすくなります。骨においては骨を壊す破骨細胞と新しい骨を作る骨芽細胞が活動しており、毎日少しずつ古い骨から新しい骨へと生まれ変わっています。しかし、年齢を重ねるにつれ、破骨細胞が増えて骨芽細胞が減るため、少しずつ骨の強度は低下していきます。

骨粗しょう症が女性に多い理由

特に更年期以降の女性の場合、その傾向が顕著になります。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには、骨の材料となるカルシウムの沈着をサポートする働きがあります。ところが、閉経を迎えると、エストロゲンが分泌されなくなるため、発症リスクが高まるのです。80歳代になると女性の約50%、男性の約20〜30%が骨粗しょう症を発症していると推定されています。

骨の役割と骨粗しょう症が起こるしくみ

骨は、コラーゲン(たんぱく質)でできた土台にカルシウムが沈着して作られており、神経や筋肉、臓器などを正常に機能させる役割を担っています。また、血液中のカルシウムの濃度を一定に保つため、カルシウムが足りなくなったときは、骨からカルシウムが溶け出して不足分を補います。その結果、骨がスカスカの状態になり、骨密度が減って、骨粗しょう症になりやすくなるのです。

骨粗しょう症と腰痛

腰椎の圧迫骨折と背中・腰の痛み

骨粗しょう症になると、どうして腰痛になるのでしょうか。骨粗しょう症が進むと脊椎が弱くなり、少しの衝撃でも背骨がつぶれてしまう場合があります。これを圧迫骨折といいます。腰椎が圧迫骨折を起こすと、腰椎の形が変形し、神経が圧迫されるため、背中や腰が痛くなるのです。
骨粗しょう症は自覚症状が乏しく、骨折をしていても自分では気づかない可能性があります。

高齢者が骨折すると、寝たきりになって、そこから認知症を招くこともあるため、早期発見・早期治療が重要です。腰痛などの症状があったら、早めに医療機関を受診しましょう。

参考)
橋口さおり『運動・からだ図解 痛み・鎮痛のしくみ』マイナビ出版
三井 弘『ひざ・腰・肩の痛みの最新治療―変形性膝関節症・坐骨神経痛・骨粗鬆症・椎間板ヘルニアなど(よくわかる最新医学)』主婦の友社
財団法人日本医療機能評価機構『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン』
監修:
京都大学大学院医学研究科 青山朋樹教授
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対策・治療

腰痛治療のための薬・リハビリ・痛み止めなど病院での治療法

腰痛の約85%は原因不明とされています。腰痛がひどい場合は、まず痛みと炎症を和らげるために薬と注射で治療を進めるのが基本です。ただし、薬物療法(投薬治療・神経ブロック療法)はあくまでも痛みを抑える対症療法であり、病気そのものを治すものではありません。状況によっては、理学療法や外科的治療などが必要になるケースもあります。理学療法は、運動機能に問題がある人の機能回復を図って、できるだけ早く社会復帰させるための治療です。医師の指導のもとで、理学療法士によるリハビリテーション(略してリハビリ)が行われます。ここでは、病院で行う腰痛治療を紹介します。

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対策・治療

腰痛改善のための筋トレ・ストレッチ・ツボ押しなど自宅での対策法

腰痛を引き起こす原因に、運動不足による腰の周りの筋肉の衰えと、柔軟性の低下があります。背骨をまっすぐに支える力が低下すると、背骨や腰椎にかかる負担が増えてしまい、痛みにつながったり、筋肉が凝り固まった状態が続くことで血流が滞り、痛みを生み出す発痛物質が放出され、さらなる痛みにつながります。
ここでは、自宅で取り入れられる筋力トレーニングやストレッチ、短時間で取り組める電気治療器やツボ押し、またマインドフルネスを活用したメンタルケアの方法をご紹介します。無理のない範囲で取り組める、自分にあったケア方法を探してみましょう。

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