低周波治療器と高周波治療器の違い - 周波数・特徴・効果
ひと言で電気治療器といってもさまざまなものがあり、周波数を変えるとからだに及ぼす作用も変わってくるのが電気治療の特徴です。低周波と高周波ではどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、低周波治療器と高周波治療器の特徴と効果について解説します。
電気治療の周波数とは
電気は「直流」と「交流」の2つがあります。交流では、電気のプラスとマイナスが目まぐるしく入れ替わっています。この電気が大きくなったり小さくなったりする様子が波に例えられています。
「周波数」とは、1秒間に繰り返される波の数のことで、ヘルツ(Hz)という単位で表されます。たとえば、60Hzであれば、プラスとマイナスの波が1秒間に60回繰り返されるというわけです。このうち、周波数が1〜1,200Hzと低いものを低周波、周波数が10,000Hz以上の高いものを高周波といいます。
私たちの細胞は「生体電流」と呼ばれる微弱な電気を帯びています。筋肉や心臓が動いているのも、痛みや熱さを感じることができるのも生体電流のおかげなのです。この生体電流に何らかの乱れが生じてしまうと、からだにはさまざまな不調が起こります。一方で、からだ自体が生体電流を利用しているため、外部から加えられた電気的な刺激に敏感に反応する性質があります。この特性をうまく利用して治療をおこなうのが電気治療です。
低周波治療器と高周波治療器の違い
低周波治療器と高周波治療器、それぞれの持つ特徴と効果についてみていきます。目的に応じて使い分けるといいでしょう。
低周波治療器の特徴
低周波治療器で使用している電気は周波数が低いため、高周波治療器と比べて、ピリピリとした刺激があります。痛みの伝達を抑制する物質を分泌させる作用や、血行の促進が期待できるので、慢性的な痛みやしびれの症状に効果的です。即効性はありませんが、少しずつ痛みを緩和し、通電が終了してもしばらく鎮痛効果が続きます。
スイープ波形とは?
低周波治療の中で最近注目を集めている、「スイープ波形」。低周波の範囲の中でも周波数によってからだへの作用が異なるという電気治療の特徴を利用した波形です。低周波治療の周波数の範囲内で、慢性的な痛みやしびれの症状に効果的な低い周波数と、痛みの伝達をブロックする効果に優れている高い周波数を組み合わせて治療するため、両方の効果が期待できます。慢性の痛みにも急性の痛みにも対応できるのが大きな魅力です。従来の低周波治療器に満足できなかった人は、一度試してみてはいかがでしょうか。
高周波治療器の特徴
周波数が高く、低周波よりもピリピリ感が少ないのが特徴です。低周波では届きにくい筋肉の奥深い部分まで作用して、痛みやコリを緩和します。痛みの伝達を即効的にブロックする効果に優れており、急性の痛みに有効です。その反面、治療後の効果の持続性は低周波に比べてやや劣ります。
からだが帯びている生体電気を利用した電気治療。自分の痛みのタイプを知り、低周波、高周波治療器を使い分けながら試してみてください。
- 参考)
- 橋口さおり『運動・からだ図解 痛み・鎮痛のしくみ』マイナビ出版
- 伊藤幸夫、寒川陽美『これだけ!単位』秀和システム
- オムロン ヘルスケア『コードレス低周波治療器 HV-F601T』
- 一般財団法人日本電子治療器学会『電流刺激療法とは』
- オムロン ヘルスケア『スイープ波形とは?』
- オムロン ヘルスケア『取扱説明書 ひざ電器治療バンド HV-F710/HV-F971(PDF)』
- 監修:
- 京都大学大学院医学研究科 青山朋樹教授
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