骨折治療のためのギプスやボルトによる固定など病院での治療法と応急処置
スポーツや交通事故、転倒など、骨折はさまざまな場面で起こる可能性があります。ご自身や周りの人が骨折をしたら、どんな治療をするのか気になりませんか? ここでは、病院で行われている一般的な処置法についてご紹介します。
骨折の診断 - レントゲン検査
骨の周りには痛みを感知する神経や血管が多く存在しているので、骨折すると傷ついた部位とその周囲に痛みや腫れが起こります。しかし、捻挫や打撲でも似たような症状が出るため、見た目だけで判断するのは難しいです。
「骨折かな」と思ったら、まずは医師による診察を受けましょう。骨折が疑われると、レントゲン検査などの画像検査で診断します。ただし、初期段階ではX線写真で判断がつかないケースもあり、CT検査やMRI検査を行うこともあります。
病院での骨折治療 - 癒合
骨折の治療法は症状によって違います。大きく分けて「保存的治療」と「手術的治療」の2つがあります。
保存的治療 - ギプスや添え木による固定
保存的治療とは、ギプスや添え木などを用いて骨折した部位を固定して安静を保ち、骨が癒合するのを待つ方法です。骨では、骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」が常に働き、毎日生まれ変わっています。骨が折れてもいずれ治るのは、こうしたシステムが備わっているからです。
骨が折れて大きくずれている場合はうまく付着しないので、手や器具を使って皮膚の上からずれた骨や関節の位置を正しい位置に戻す「徒手整復(としゅせいふく)」を行ってからギプスなどで固定します。軽い骨折や疲労骨折の場合は、この保存的治療で対処するケースがほとんどです。
手術的治療 - ネジやボルトによる固定
骨の損傷が著しい場合や、徒手整復ができない、もしくは整復してもすぐに元に戻ってしまう場合、体重がかかる足の骨などは、手術を行います。手術的治療にはいくつかの方法がありますが、骨折の状態や折れた部位などから総合的に判断されます。折れた骨をもとに戻してネジやボルトで固定し、関節を動かしても骨が動かないようにする手術が基本です。
骨折を早く治すための応急処置
いざというときのために、病院に行く前の応急処置を知っておきましょう。早く適切な処置をできるかどうかが、その後の状態を左右します。
骨折の疑いがある部位を、添え木などを使って動かないように固定します。添え木が見当たらない場合は、板切れや雑誌などで代用するといいでしょう。安定を保てたら、患部を氷のうなどで冷やします。
骨折はささいなことで起こる可能性があります。異常がみられたら、患部をむやみに触らないことが大切です。応急処置をし、速やかに医師の診察を受けましょう。
- 参考)
- 医学辞典編集部『日常生活ですぐに使える健康知識 家庭の医学 緊急編(SMART BOOK)』SMART GATE Inc.
- 国際スポーツ医科学研究所『新版 図解 スポーツコンディショニングの基礎理論』西東社
- 橋口さおり『運動・からだ図解 痛み・鎮痛のしくみ』マイナビ出版
- 日本整形外科学会『骨折』
- 監修:
- 京都大学大学院医学研究科 青山朋樹教授
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