完全骨折・不全骨折の症状と原因
骨折は、スポーツシーンや交通事故、転倒など、さまざまな場面で起こりえます。日常生活にも支障をきたすので、できれば経験したくないですね。ここでは、外傷によって発生する「完全骨折」「不全骨折」の症状や原因について解説します。
骨折の症状と原因
骨は本来、ひと続きの構造をしています。骨に大きな外的圧力が加わって、その連続性を断たれてしまうことを骨折といいます。
骨折の原因は大きく「ケガによるもの」「疲労によるもの」「病気などによるもの」の3つのタイプに分類されますが、通常の骨折はケガによるものです。疲労骨折や病的骨折などと区別するために、外傷骨折とも呼ばれています。
骨そのものには痛みを感じる神経はありませんが、その周囲に痛みを感知する受容器が高密度に存在しています。交通事故やスポーツなどで骨が折れるほどの激しい力がかかると、骨の周りの血管や筋組織も損傷。折れた骨の鋭い先端が周囲を傷つける場合もあります。
その結果、折れた骨の周囲に分布する神経が作用して、強い痛みを感じます。ゆがみや変形、腫れや内出血を伴うケースもあります。骨が皮膚を突き破った開放骨折の場合は、出血の量が多く、感染の恐れが大きいため、適切な応急処置が必要です。
完全骨折と不全骨折
骨折は程度によって、完全骨折と不全骨折に分けられます。それぞれの違いをみてみましょう。
完全骨折
骨と骨が完全に断裂してしまっている状態です。一般的に「骨折」と呼ばれるものは、この完全骨折を指します。完全骨折は骨が折れた方向によって、次の5種類に分類されます。
- ①横骨折…骨の長軸に対して垂直に折れた骨折
- ②らせん骨折…骨の長軸に対してらせん状に折れた骨折
- ③斜骨折…骨の長軸に対して斜めに折れた骨折
- ④粉砕骨折…ひとつの骨が2つ以上の骨片に割れてしまった骨折
- ⑤分節骨折…粉砕骨折の1種で、いくつかに分かれた骨折
不全骨折
骨が完全に断裂しておらず、部分的につながっている骨折です。いわゆる「骨にヒビが入った」状態ですが、医学的には骨折に分類されます。骨にヒビが入った程度の「亀裂骨折」や、外見的には変化が見られないものの内部が離断している「骨膜下骨折」などがその典型です。見た目だけでは骨折と判断がつきにくく、捻挫や打撲と間違えられることもあります。
骨がポッキリと完全に折れたものだけが、骨折ではありません。ヒビが入っている程度でも骨折と同じように扱う必要があります。骨折が疑われる場合は、医療機関で正確な診断をしてもらいましょう。
- 参考)
- 医学辞典編集部『日常生活ですぐに使える健康知識 家庭の医学 緊急編(SMART BOOK)』SMART GATE Inc.
- 国際スポーツ医科学研究所『新版 図解 スポーツコンディショニングの基礎理論』西東社
- 橋口さおり『運動・からだ図解 痛み・鎮痛のしくみ』マイナビ出版
- 西村典子『基礎から学ぶ スポーツセルフコンディショニング』日本文芸社
- 監修:
- 京都大学大学院医学研究科 青山朋樹教授
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